Technically Impossible

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『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話

ガールズ&パンツァー 最終章 第4話(特典映像付きセル版)

ガールズ&パンツァー 最終章』第3話が公開されたのが2021年3月。2年半ぶりに最新作、第4話が公開された。長らく待たされたことに加えて、昨晩の先行上映後、Twitterに投稿された反響に煽られ、期待がますます高まっていた。

結果、期待しすぎてしまったのかもしれない。アトラクション用、あるいは4DX用の作品を素のスクリーンで上映した、という印象で、単に「消費」しただけ、楽しかったという印象すら残らなかった。
そのような調子の作品だから、ストーリー上語るものは何もなく、ただ常套句である「ガルパンはいいぞ」と言う他ないのだ。

同時に、劇場版がシリーズとしても、作品としてもピークだった、という印象も相対的に強まってしまった。


食玩と呼ばれる商品がある。いわゆる「おまけ」が本来の主役でありながら、食品売り場に陳列させるために、あえてお菓子を主役としている商品だ。ガルパンも、そのような要素を感じさせる作品だった。
おそらく作品の主役は戦車と、その活写でありながら、それを番組として放送するために、女性キャラクターとストーリーを無理やり組み合わせたような意図が透けていた。しかし見どころとなる戦車以上に、戦車の製造国を擬人化したようなキャラクター性、その絡み合いも気が利いていて存在感があり、おまけと思わせない一体感があった。この本来の「おまけ」と、その他のおまけを感じさせないバランスの良さが極まったのが、劇場版*1だった。

ガルパン最終話から劇場版まで、やはり2年を要している。片や2時間の映画作品であるのに対して、最終章は各話1時間にも満たない。同じ2年間を費やし、同じスタッフを擁したとはいえ、その出力から、劇場版と同等以上の印象は持てなかった。その理由は冒頭に触れた感想に通じている。

最終章、第4話の構成は、あたかもエピソードから戦車の活躍シーンだけを取り出し、キャラクターの絡みをガム的に添付しただけのような、本格的な食玩スタイルだ。あんこうチームの不在を補うメンバー間の連携、後継者としての自負など、成長を端的に示す描写、その見せ場がありながら、作中の時間のほとんどは戦車同士のアクロバットに費やされてしまう。
そのアクロバットは理不尽なほどに激しく入り乱れる。観客によっては圧倒されてしまうのかもしれないが、私には支離滅裂な印象しか残らなかった。

俗に「ガルパンおじさん」と呼ばれるファンたちはネタバレを積極的に自粛し、作品と未見のファンを守ろうとするほど民度が高い。しかし第4話に限って言えば、ネタバレに通じる話題は限られている。それは準決勝の決着と島田愛里寿の編入先のみだ。そして作中のほとんどの時間は、そのようなアクロバットに終始するものだから、「ガルパンはいいぞ」意外に語れることがないのだ。

『劇画ガールズ&パンツァー*2のほうが、まだ語れることは多いかもしれない。

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