10代の頃、よく遊んだゲームの一つが大戦略シリーズだ。当時のパソコンのスペックでは、ソフトウェアのロジックを高速に処理できず、1マップを攻略するにも数日を要するようなことがあった。大学卒業までにかけて徐々に他の分野へと関心が向き、『大戦略Ⅲ'90』を最後に、遊ぶのを止めてしまった。
『復刻版・大戦略Ⅳ』は、おそらく当時リリースされたものが、そのままWindows版として移植されたものだろう。Windows 98のような32bit環境全盛期にリリースされたゲームだが、64bit環境のWindows 10にインストールしても、何ら問題なく動作している。Windows版なりの特別な仕掛けは実装されていないようだ。ただし、デフォルトのゲームスピードでは高速すぎるのだが。
台風上陸に伴い、明日は休講日と言うことで遊んでいる。昔ながらの大戦略を遊んでいると、少年時代を思い出すと同時に、年を経た分、当時は考えもしないような手立てを思いつくのだ。自ずと遊び方も当時とは変化する。ゲームの紹介がてら、そんな変化を紹介しようと思う。
特徴
『復刻版・大戦略Ⅳ』は、これまで遊んだものとは趣向が異なっている。ゲーム中に兵器を生産することはできず、その前に生産したい兵器を開発しなければならない。開発にも生産にも資金が必要で、それはマップをクリアすることで提供されるボーナスが原資となる。
マップで対決する陣営ごとにボーナスが若干異なっているのは、そのマップでの優劣が反映されているのだろう。陣営を変えながら、同じマップを繰り返し遊ぶように仕掛けられている。
戦闘を通じてユニットを成長させると同時に、開発したより強力な兵器を投入して自陣営を強化しながら、異なるマップを転戦していくことになる。
資金次第では、いきなり強力な兵器を開発、投入することも可能なので、単一マップのクリアだけを念頭に兵器開発するのではなく、今後の展開(遊び方)を考慮した開発を計画するあたりが、「戦略」に通じるところだろうか。この点が後述する、定石に変化をもたらす発想に繋がることになる。
コンピュータのアルゴリズムと定石の変化
コンピュータは、とにかく異種混合の部隊連携は考慮せず、とにかく前線へ視界を広げると同時に、早いもの順に兵器を投入してくる。コンピュータ陣営との遭遇過程は、たいていこんな具合だ
- まずジープのような偵察車両、少し遅れて戦車に遭遇する。
- 視認して初めて反応するのだろう、こちらにヘリや戦闘機がいれば対空兵器や戦闘機が登場する。
- 経路にある構造物を占領しながら前線へ向かっているのだろう、最後にトラックや輸送車両が登場する。
このような具合なので、プレイヤーは適当なところを前線として、主力戦車と間接射撃兵器で防衛線を築き、敵を迎え撃ちながら前線を押し上げていく。一方、前線の後方では歩兵や輸送車両が構造物を占領していく。これが少年時代までの定石だった。
とはいえ、これは全く発想が柔軟ではない、凝り固まったアイデアだった。昔を思い出しながら定石で遊んでいると、ふと閃いたのだ。ある程度遠方の空港を真っ先に占領し、そこを拠点に小数の戦闘ヘリやVTOL機で敵を食い止めながら、輸送車両群は後方の構造物を占領しながら追いついてもらうのが効率的ではないか?
ヘリとVTOLを多用するので、数台の補給車を後追いで、前線と少し離れた後方に待機させる。こんな感じだ。
私の新しい定石
現在、3番目のマップであるIsland Campaignまで遊んだが、今までのところ、うまく機能している。生産国をアメリカに設定し、こんな順番で開発しながら遊んだ。
- F-86を開発して敵HQ直撃、を最初のマップで繰り返す。ボーナスを稼ぐ。
一番最初のマップ「ゲキトウ!!メガネジマ」は爆撃できる戦闘機が一つあればクリアできるので、次の兵器が開発、生産できるまでのボーナスを稼ぐ。
「ゲキトウ!!メガネジマ」の敵陣営がRedの場合、Mig-15が1機登場する。UH-60を狙ってくるので、やられそうになったらF-86でHQを直撃する。
ボーナス稼ぎだけでなく、兵器の経験値稼ぎも伴うなら、マップクリア前に空港を占領する必要がある。F-86は燃料が少なく、それまで持たないので世代交代のタイミングだ。次の兵器も開発する。この程度まで仕上がると、メガネジマも卒業になる。
兵器の武装交換はゲーム開始前にしかできず、出撃中には変更できないため、戦闘機は基本的に対地、対空兼用にしている。ハリアーならMig-15対策も対地サポートもOK、敵HQも直撃できるのでF-86は引退する。F/A-18が開発できれば、敵空港直撃、Mig-15退治、空港占領まで待機でも燃料切れはない。
2番目のマップ「Island Typhoon」では、敵陣営がRedの場合、F-8が2機登場する。この程度までに自陣営が仕上がると、2方面作戦でも無理なく、同じ手を使うことができる。
ここでATACMS(長距離ミサイル)を開発する。長距離ミサイルは空港などの施設も攻撃でき、攻撃された施設は中立化する。前線後方にある敵施設を中立化すると、敵陣営の占領部隊は後方施設の再占領を優先するようだ。移動の遅さも手伝って、後方に貼り付くことになる。
また空港施設を中立化すると、敵戦闘機や爆撃機の前線投入を遅らせるだけでなく、燃料切れによる無力化も狙える。補給施設がないため、墜落してしまうためだ。
小数の戦闘機とヘリを多用するので、前線に次々と現れる敵戦闘車両の駆逐に追われることになるが、補給との兼ね合いで前線貼り付きは難しい。そこで敵戦闘車両を全滅させず、広く薄くダメージを与えながら戦う。
敵戦闘車両も修復、補充のために後方拠点へ下がるのだが、補給施設をATACMSで中立化させておくと、敵車両の前線再投入までに時間を稼ぐことができる。敵が後方に下がっている間に、こちらは補給を済ませると同時に、迅速に前線を押し上げる。
これらの施策によって、ゲーム展開は、これまでの定石に比べて効率的、スピーディなものに生まれ変わる。こうして、ゲームは敵を撃退し、追い立てるゲームへと変化していく。
ちなみにATACMSで敵HQの場所を推測し、当てずっぽうに射撃することもできる。これで敵HQを破壊できれば、マップをクリアできるのだが、それは使わない手だ。
とはいえ、敵陣奥地の最終拠点がこんな具合では、長距離ミサイルで敵HQを直撃するしかないときもある。これが登場するマップ4での序盤戦は、確保できそうな空港が少なく、距離も離れている。航空機の補給インターバルを短縮するために、空中給油機KC-10を導入する必要がありそうだ。そのまた次のマップになると、部隊を複数に分ける必要もありそうだ。
このような感じで発展の必要性を感じ、考えながら攻略は続いていく。
これは定石ではない。
いわゆる、お約束みたいなものだ。
余談
『ガンダムタクティクス mobility fleet0079』というゲームがある。『大戦略Ⅳ』同様、90年代の作品で、今となってはレトロ扱いされる作品だ。
ガンダムを題材としていることを除いて、次の要素が『大戦略Ⅳ』と通底している。
- セミ・リアルタイムのゲーム展開
- ステージ中の生産がなく、限られたユニットで勝利を狙う戦術性
ステージ・クリア時のスコアと支給兵器、配属パイロットとのトレードオフ、パイロットの素養と搭乗兵器への影響が、『大戦略Ⅳ』にはない独自要素だ。
『大戦略Ⅳ』を楽しめるユーザーには、同様に楽しめる作品かもしれない。紹介記事を投稿したので、関心があれば参照してほしい。
impsbl.hatenablog.jp