Google Play Balanceの失効期日が迫り、何らかの交換を迫られていた。書籍購入の足しにするのが良いのだが、後々まで保存しておきたい書籍は、なるべく物理で購入し、自炊でPDF化したい。以前から気になっていたものの、読み捨てでも構わない本として選んだのが、『劇画ガールズ&パンツァー』だった。
個人的に楽しめた部分はあるものの、身銭を切って買うものではない、というのが正直な感想だ。ガルパン好きの人たちの中には、すでに購入済みの人達もいるかもしれない。『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話*1の公開が10日後に迫り、持て余した勢いを浪費させてしまうことのないよう、情報共有しておこうかと考えた。
パロディあり、オマージュあり、小林源文的軍事知識挿入も「戦車道」らしい。しかし…
基本的にはガルパンのギャグ路線パロディだ。要所に小林源文作品的な軍事知識を挿入する構成は、いかにも「戦車道」らしい劇画アレンジで好意的に感じられた。このような感じで、パロディ、揚げ足取り、そしてオマージュを自然に取り入れている。
ただガッカリなのは、回を進めるにつれ、パロディから逸脱していくのだ。全12話中、早くも6話で息切れの印象を漂わせ、そこから先は小林原文作品のスター・システムに乗っ取られるかのように、内輪ネタも含め、ほぼガルパンとは無関係な内容になる。
ゲーム『World of Tanks (WoT)』入門、体験マンガも「戦車道」らしくはあるが…
さらに作品の1/3はゲーム『World of Tanks (WoT)』*2の入門、体験マンガだ。そして、やはりこちらも途中から息切れするのだ。
間に挿入される軍事知識は、ゲームでも通じるテクニックであり、「戦車道」らしさを感じられはする。
多国籍混合の兵士、戦車同士の会話でチャットを表現し、経験値不足でより強力な戦車を得られない会話など、ゲームの特性を劇中にうまく落とし込んでいるのはさすがだが、とはいえ基本的にガルパンとは全く関係がない。
企画も取り組みも面白いのだから、面白さを維持できる路線を継続すればよかったものを、なぜ逸脱してしまったのか、それが残念でならない。
余談
第3話の結末で、あんこうチームがリタイアしてしまった。あんこうチームのメンバーは、作品中の翌年に卒業予定であり、対継続高校選の主題は、その後継となるであろう、ウサギさんチームの成長を見せるための舞台なのだろう。
並行して行われている準決勝戦が、黒森峰、聖グロの対戦だ。どちらも大洗高校とは因縁がある。
黒森峰は西住流を踏襲しており、西住まほから逸見エリカへバトンタッチされている。さらに逸見エリカは西住みほのライバルでもある。西住みほは大洗で、西住流に囚われない独自の戦車道を見つけた。逸見エリカも同様の守破「離」に到達できるのかが見どころだ。
大洗は全国高校生大会の優勝校だが、練習試合も含めて、聖グロには全敗を喫している。これに勝利すること、付け加えるなら、ウサギさんチームの貢献あってこその勝利であればなお、シリーズを通した整合性のある展開になる。
このように整理して気付くのは、いずれが勝利するにせよ、大洗が決勝進出する必要はないということだ。何を見せたいかに着目すれば、それは決勝戦でも、三位決定戦でも問題はない。
最終章の、そもそもの目的は河嶋桃のAO入試合格のために、無限軌道杯を制することなのだ。とはいえ合格すればよいのだから、必ずしも優勝する必要はなく、合格のきっかけに通じる何かがあればよいのだ。
そう考えると継続高校戦では、ウサギさんチームは健闘するかもしれないが、大洗は継続高校に勝てないのかもしれない。
そして気になるのは、島田愛里寿だ。彼女は西住みほと再戦したいから、大洗以外のどこかへ入学したのだ。そして、まだ一度も試合に登場していない。第5話で決勝戦、あるいは三位決定戦を描き、前シリーズ劇場版のように、最終話で島田愛里寿戦を描くつもりなのかもしれない。
想像は尽きない。10日後の第4話公開が楽しみだ。