読書、昼寝、運動
どうしても頑張れない人たち
『ケーキの切れない非行少年たち』*1の続編。認知機能の弱い人々が存在することを知らしめたのが、前作だった。今作では、そのような人々が頑張ることのできない背景と、そのような人々を支援する、さらに支援者を支援するための考え方を紹介している。
主旨は異なれども、取り上げられる事例や背景の都合、前作と重複する情報が多い。そのため前作から続けて読み始めると、どうしても冗長に感じられることがある。そのような個所を読み飛ばすと、内容が薄く、浅く感じられるのが残念だった。
印象的だったのは、支援したくない人たちだからこそ、支援しなければならない、という理屈だった。認知機能が弱く、頑張りたくても頑張ることができない、頑張っていても怠けているように見える人たちだ。加えて、手助けがお節介と解釈されることもあれば、自ら助けを求めることもしない人たちなのだ。
さらに個人を尊重して、頑張らなくてもよい、といった言葉がけをしてしまうのも逆効果なのだという。事情はどうあれ、何らかの形で頑張らないと社会で生きていけないのは事実であり、それを前提に「頑張らなくてもよい」と言葉がけするのは、無責任であり、問題の先送りでもある、という理屈だ。
さらには他者からの評価が全てなのだから、まず好感を持ってもらえること、良い評価を得る必要がある。そのために評価の基準を、他者が思っているものへ合わせる、ことに触れている。この点は、健常者でも明瞭に意識している人は少ないのではないか、と感じた。