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Technically Impossible

Lets look at the weak link in your statement. Anything "Technically Impossible" basically means we haven't figured out how yet.

ハイテク過食症―インターネット・エイジの奇妙な生態

ハイテク過食症―インターネット・エイジの奇妙な生態
iOS12からScreen Timeという、どのようなカテゴリ、あるいはアプリにどれくらいの時間を費やしているのかを集計、サマリーする機能が追加された。Android Pieでも、Digital Wellbeingとして、同様の機能が追加されるという。
いわゆるスマホ中毒的な話題は、今に始まった事象ではなく、情報過多の始まった90年代から言われ続けていることだ。1998年に発行された本書のタイトルである「ハイテク過食症」は、スマホ中毒に通じるニュアンスがある。

本書の原題は「DATA SMOG」であり、多様で雑多に増え続ける情報を指している。一方、副題は「SURVIVING the information glut」。邦題の過食症に通じる部分であると同時に、情報に依存するあまり的確な処理ができず、判断力をも失ってしまう人々が増加している、という主旨、警鐘に通じている。

1998年は、ダイアル・アップでのインターネット接続が一般的になってきたころだ。2000年以降からのADSL普及とそれに続く光回線によるブロード・バンド化の波、さらに2010年代のスマホ普及を経て、情報洪水は2018年現在も変わりがない。本書の扱う話題に古さはあったとしても、その本質は現代社会の事象にも通じている。

本書では「情報スモッグの法則」として13の法則を取り上げ、その法則がどのような事象を指し示しているのかを提示し、最後にそれらに対する処方箋を提示している。代表的なものとして、次の法則が挙げられる。特に6、10はDeNA社のWELQ事件、Facebook個人情報流出や営利目的利用、あるいは電子決済と信用スコア連携のような、2018年にも通じる話題だ。

情報スモッグの法則

かつてはキャビアのようにありがたがられた情報も、情報過多の現代にあってはジャガイモのように取り扱われている。
教室という教室にコンピュータを設置するのは、家庭という家庭に発電所を設置するようなものだ。
情報業界が売っているのは情報技術ではなく、情報不安心理である。
多すぎる専門家は明快さを損ねる。
ヴァーチャルな世界でも類は友を呼ぶ。
10 信用情報機関があなたをひそかに見張っている。

そして処方箋として、次のことが挙げられている。
1.情報を取捨選択する。

  • テレビのスイッチを切る。
  • 断片的なニュースを退ける。
  • 電子メールの使用は最低限にする。
  • 宣伝広告を避ける。
  • アップデートやヴァージョンアップに熱中しない。
  • 情報ダイエットで摂取量を調整する。

2.情報を編集する。

  • 情報発信を最小限にとどめる。

3.シンプルに

  • 情報の受信と発信が人生ではない。
  • ハイテク技術ばかりに依存した生活を送らない。
  • たくさんの情報よりも、体系化された知識を。
  • 明確な目的を持つ。
  • 意味の無いことにできるだけ惑わされない。

4.脱ニッチ化

  • 専門性の殻を破る。

テレビのスイッチを切るどころか、いまやテレビを持たない世帯も増えている。とはいえ、それはインターネット配信やSNSなどに取って代わられただけで、本質的な状況に変化はない。
いずれも情報受信の制限に集中しているのだが、自らの情報発信にも注意を向けたい。自ら発信したメッセージの既読やRT、いわゆる「いいね」など、発信に対する反応への依存も、特にスマホ中毒一因ではないかと考えるからだ。あるいは、その情報発信が情報過多の片棒を担いでいる一面もあるだろう。

対象を絞り込んで目的を定め、検索によって得られた断片的な情報、雑多な情報ではなく、体系的な情報に基づいて自ら考えることを習慣にする、という結論にたどり着くだろうか。
そして、遊び心を忘れてはいけないようだ。本書の内容に通じるニュースと、その引用を紹介しておく。
japan.cnet.com

    • ハイテク企業には、熱心にガジェットを買っているADT患者がたくさんいるように思えますが、いかがですか。

そうですね。ただし、彼らはそういうガジェットにノーということもできます。私が彼らを大好きな理由はまさにそこにあります。彼らは遊び心に溢れています。遊ぶことはADTを治す薬の1つです。彼らはADTの状態から抜け出したり、それを回避することもできます。この分野で最も大きな苦しみを味わっているのは、技術オタクの創造力を持たない人たちで、彼らは単に力ずくで進んでいるだけといえるでしょう。