Technically Impossible

Lets look at the weak link in your statement. Anything "Technically Impossible" basically means we haven't figured out how yet.

新電力から、旧一電プラン(従量電灯)へのスイッチング

NTT DoCoMoのような携帯電話キャリアがahamoというサブブランドを運営している様に、旧一電にも同様なサブブランドが存在することがある。東京電力だと、TEPCOライフサービス*1が運営する「ゼロからでんき」*2だ。

同社は昨日、2023年1月末日での電力供給停止を発表した。JPEXスポット市場価格の高騰から、燃料調達コストの急騰まで、新電力には受難が続いている。そもそも東京電力HD自体が赤字*3なのだから、その関連会社となる新電力が赤字でないわけがないのだ。
赤字の割合としては、「ゼロから~」の赤字は、東京電力本体での電力事業の赤字を上回っているのではないだろうか。同じ赤字だとしても、可能な限り縮小するには、東京電力本体にでもスイッチングしてもらった方がマシ、的な印象を感じた。

とはいえ旧一電プラン(従量電灯)へのスイッチングは、新電力間のスイッチングのようにはいかないのだ。東京電力の場合、Webで受け付けているのは電力自由化後に開始したプラン(自由料金メニュー)のみで、従量電灯の申し込みは受け付けていない。

この投稿では、その手続き方法について紹介する。さらに2022年12月を想定した、自由料金メニューと従量電灯の料金比較についても触れる。

手順の概要

先述の通り、東京電力は従量電灯のWeb申し込みに対応していない。また新電力も、従量電灯へのスイッチングを前提とした、オンライン解約申し込みに対応していない。必要な手続きは電話のみだ。その概要は以下の通りだ。
後述する情報のやり取りがあるため、事前確認とメモを用意しておく必要がある。

  1. 東京電力カスタマーセンターへ電話連絡
    1. 従量電灯へのスイッチング希望を意思表示する。
    2. 供給地点特定番号を伝える。→事前に用意しておくこと。
    3. スイッチング日(検針日)を確認する。
  2. 契約中の新電力へ電話連絡
    1. 供給者変更に伴う解約手続きを希望する。
    2. スイッチング日を伝える。

順番に詳細を追っていく。

東京電力カスタマーセンター

www.tepco.co.jp
カスタマーセンターには二つの番号がある。従量電灯へのスイッチングを希望する場合、「従来の料金プランのお客様」へ電話する。スキップ番号は「25」だ。

従来の料金プランのお客様 0120-995-001
03-6374-8936
新しい料金プラン…ののお客さま 0120-995-113
03-6375-9835

オペレータに繋がり、従量電灯へのスイッチング希望を伝えると、供給地点特定番号を尋ねられる。この番号は、現在契約中の新電力会社Webサイトにあるマイページや、ご利用明細的な箇所で確認することができる。

供給地点での検針日がスイッチング日となる。通常、検針日は月に一度なので、申し込みのタイミングによっては次々回の検針日まで待たされることも有る。つまり、電話のタイミングによっては、スイッチングまでに1か月超待たされる場合もあることを承知しておくこと。

新電力カスタマーセンター

スイッチング日が特定できたら、それを新電力へ伝える必要がある。

新電力へのスイッチングであれば電話連絡は不要なのだが、特定小売供給約款に基づくご契約へのスイッチングの場合は、供給者変更に伴う解約手続きが必要だ。この一環として、特定したスイッチング日を伝える必要があるのだ。

解約手続きはここまでなのだが、念のため次のことを確認しておくと良いだろう。

  1. 最後の請求月
  2. マイページの参照期限

新電力は基本的に検針票を発行せず、オンライン確認のみとしている。そのため最後の請求を確認できるのがいつまでなのか、を知っておく必要がある。会社によっては、電気使用量データをダウンロード提供しているところもある。特に分析好きのユーザーは、忘れずに保存しておくと良い。

余談:結局、従量電灯が最もリーズナブルなのか?

昨年、一部の新電力を賑わせた電気代高騰の主因は、JPEXスポット市場価格の高騰だった。それは市場調達の割合が高い新電力に限られた問題だった。今回は発電のための燃料調達コストが高騰しており、新電力だけの問題ではなくなった。
燃料調達コストは、燃料費等調整額として電気代に加算される。新電力を含め、自由料金メニューは、燃料費等調整額に上限を設けていない。しかし従量電灯は上限を設けており、すでに上限に達している。
この上限が支えとなって、規制料金が自由料金メニューよりもリーズナブルになる逆転現象が生じているのが現状だ。基本的に、この上限がある限り、ほとんどの場合においては、従量電灯が最もリーズナブルだろう。次の4メニューを試算、比較してみよう。

  1. ゼロからでんき
  2. Japan電力*4
  3. 従量電灯B(東京電力
  4. スタンダードS(東京電力

1か月間に120kWh使用したとする。それぞれの電気使用料は、

基本料金 1kWh単価 使用料
ゼロからでんき 0 26.4 3168
Japan電力 0 27.0 3240
従量電灯B 1144 19.88 3530
スタンダードS 1144 19.88 3530

これらの金額に燃料費等調整額が加わる。その単価と120kWhを前提とした金額は以下の通りだ。

月分 1kWh単価 燃料費等調整額
ゼロからでんき 2022-10 8.07 968
Japan電力 2022-12 18.36 2203
従量電灯B 2022-12 5.13 616
スタンダードS 2022-12 11.92 1430

この結果を見れば、電気使用量を比べずとも、自ずとどれが最もリーズナブルなのかは一目瞭然だろう。結果はこうなる。

電気使用料 燃料費等調整額 合計
ゼロからでんき 3168 968 4136
従量電灯B 3530 616 4145
スタンダードS 3530 1430 4960
Japan電力 3240 2203 5443

注意しておきたいのは、「ゼロからでんき」の燃料費等調整額は10月分のものであり、12月分は少なくとも東京電力並みの水準へ上昇することだ。
さらに念のため申し添えておくと、最終的な請求される電気料金には、この合計額に再生可能エネルギー発電促進賦課金が120kWh分加算される。

tepco-ls.co.jp
www.japaden.jp
www.tepco.co.jp