Technically Impossible

Lets look at the weak link in your statement. Anything "Technically Impossible" basically means we haven't figured out how yet.

楽天モバイル、株主優待プランのモバイル・ルーター運用 - Aterm MR04LN, MR05LN


楽天株主優待として提供される、楽天モバイルSIMカードが到着した。本来は、持ち株数に応じた利用期間が付与された、月間30GBのデータ通信プランだったのが、利用期間は1年間へ延長され、音声プランも付与された。*1

音声プランが付与され、SMSも送受信できるとは言え、後述する制約を考えるとデータ通信専用として運用するのが良いのではないか、と考えた。eSIMではなく、SIMカードを発行してもらい、モバイル・ルーターで運用するのだ。
かつてFOMA*2が健在だった時代、スマートフォン用に音声通話のみを契約し、データ通信用に適したプランを別途契約していた。Wi-Fi接続したモバイル・ルーターで、SIMフリー端末が対応していない周波数帯を補い、通信料金を節約しながら音声通話+データ通信を運用する発想だ。

楽天モバイル株主優待プランを活用して、このアイデアを再生してみることにした。

音声プランの制約

株主優待として提供される音声プランには、いくつかの制約がある。

  • 1年後に自動解約されるプラン
    • 割り当てられた電話番号が継続利用できる保証はない。
  • 楽天IDとの連携不可
  • 通話はRakuten Link Office*4

本来、Rakuten Link Officeは法人向けのサービスだが、個人ユーザーとして利用する。その通話は、基本的に楽天回線での運用を前提としており、Wi-Fiのみの利用では、発信、着信が非通知扱いとなる不都合もある。
またiPhoneの場合、OS標準アプリと使い分ける必要がある。相手がRakuten Link Officeを利用していない場合、通話はRakutenアプリで発信し、標準アプリで着信する。加えて、RakutenアプリではSMSの送受信ができず、標準アプリを用いることになる。

楽天モバイル用のモバイル・ルーター選び

楽天モバイルで利用するモバイル・ルーターを選択するに際し、まず確認したいのが公式サイトのサポート状況だ。

network.mobile.rakuten.co.jp network.mobile.rakuten.co.jp

サポート可否に関わらず、利用したいモデルを自ら見つけ出そうとするならば、次の対応バンドに注目しなければならない。

対応バンド(周波数帯)

現在、楽天モバイルは次のバンド(周波数帯)に対応している。*5

4G/5G バンド 周波数帯
(GHz)
備考
4G 3 1.7
4G 19 0.8 KDDI
4G 26 0.8 KDDI
4G 28 0.7 715~718MHz
5G n77 3.7
5G n257 28

注意したいのは、プラチナバンド=28の取り扱いだ。バンド=28に対応してるモバイル・ルーターは存在するのだが、対応周波数が(UL:728~748MHz/DL:783~803MHz)などに限定され、楽天モバイルの周波数帯はサポート外である場合があるのだ。

現状、ほとんどの場合においてLTEで接続することを前提とするならば、事実上バンド=3, 19/26で運用することになる。つまり、このバンドに対応しているルーターを選択する必要がある。

Aterm MR04LN, MR05LN

個人的なおすすめは、Aterm MR05LN*6、あるいは前身のMR04LN*7だ。どちらもモバイル・ルーターの名作モデルだ。04はすでに生産終了しており、05は2016年の発売以来、ロングランで供給され続けている。

04、05の間に、それほど大きな違いはない。特徴的な違いは以下の通りだ。

04 05
SIM microSIM nanoSIM
LTE-Advanced 2CA 3CA
大受 300Mbps 375Mbps

まず要求されるSIMカード・サイズの違いだ。SIMを使いまわすことを考えると、nanoSIMで運用できる05が望ましい。最大受信は、あくまでも理論値なので、これらの差を気にすることはないだろう。
両者を購入検討する場合、04が入手しにくい現状から、自ずと05を選択することになるはずだ。

04、05ともに、ブリッジ・モードで運用することもできる。例えば、外出時はモバイル・ルーターとして運用し、宅内では固定回線用ルーターの配下でWi-Fiアクセスポイントとして運用するならば、クレードルが必要だ。

ちなみに両端末の形態は酷似しているが、バッテリーもクレードルも互換性はない。厳密にいえば、クレードルについては物理的な調整によって共用可能だ。両端末の側面に配置されたUSB端子の位置が若干異なっており、クレードル側の干渉する部位を削り取るのだ。とはいえ、前述の入手状況を考慮すると、気にする話題でもないだろう。

web管理画面

04、05ともにweb管理画面が用意されている。本体だけである程度の設定を済ませることはできるのだが、web管理画面からしか設定できない項目もある。例えば、電源関係の設定や、ポートフォワードなどネットワーク系の詳細設定だ。

APN設定


楽天モバイル用のAPN設定は簡単だ。ユーザー名、パスワードは不要、認証方式も入力する必要がなく、簡単すぎて心配になるほどだ。

ECOモード


ECOモードとは、いわゆる省電力設定だ。具体的に何を根拠に省電力なのかと言えば、機能する内臓アンテナの本数だ。ECOモードは、通常モードの半分になる。

受信 送信
通常モード 2 2
ECOモード 1 1
省電力設定


ECOモードとは別に省電力設定が用意されている。こちらは、いわゆるスリープやハイバネーションの設定だ。管理画面では、それぞれ次のような独自の呼び名がある。

ウェイティング スリープ
休止状態 ハイバネーション
電源OFF

アイドル状態で設定時間に到達すると、自動的に指定された状態へ移行する。それぞれの特徴的な違いは、復帰時間の短さと消費電力でしかない。注意したいのは、いずれの状態でもLTE通信が途絶えることだ。LTE通信を途切れさせたくなければ、「使用しない」に設定する必要がある。

データ通信、通話料がミニマムな契約へ

最後に、スマートフォン側の契約を、適切なキャリアへ移行すれば対応完了だ。主なデータ通信を楽天モバイルへ集約する前提では、可能な限りデータ量が極少で、通話料金がお得な契約が望ましい。
現時点では、おそらく日本通信の合理的シンプル290プラン*8、あるいはイオンモバイルの音声0.5GBプラン*9が妥当な選択肢ではないだろうか。特に日本通信は、Amazonでスターターパックを購入して契約すれば、初期手数料が若干割引されるのでお得だ。

MR04LN受信状態


4月28日以降、MR04LNでの運用を始めて1週間が経過しようとしている。通信状況はユーザー次第だろうが、私の生活圏内では問題なく機能している。

意外だったのは、電波のつかみやすさだった。受信電波は十分に強く、今のところ圏外を経験していない。
一緒に持ち出しているスマートフォンも、Wi-Fi接続のアクセス・ポイントを自宅からMR04LNへ自動的に切り替えており、全くストレスがない。

これを主回線として運用するには、通信通話の品質は問題なくとも、サポートの観点ではリスクを伴う。それは窓口、対応時間帯、手続き上の問題だ。しかし、サブ回線として運用するには十分だろう。

音声通話用の契約に、最低限のデータ通信プランを加えて主回線として運用し、日常のデータ通信だけ株主優待プランを活用するのだ。その恩恵をフル活用すべく、音声側を含めた契約を日本通信へ切り替える意欲が高まってきた。