これは2007年に以前のブログへ投稿したエントリーを加筆、編集したものです。
何かを楽しむには、それなりの知識による裏付けが必要だ。あるいは、知識があれば尚楽しめる、と表現すべきだろうか。例えばワインを楽しむためには、次の知識が必要だ。
- 産地、産地ごとの特色
- 風味
- 味わい方
さらに楽しみの対象は、ワイン・ボトルからラベルにまで及ぶ。
コーヒーも同じだ。コーヒーの場合には、さらにユーザー自ら実践する楽しみが加わる。
- 豆のブレンド
- 淹れ方
STARBUCKSでは、そのようなコーヒーの楽しみ方を教えてくれるセミナー*1を開催している。セミナーは、1回3000円で受講できる。初級から上級まで受講すると、修了証を発行してくれる。
今回は、その初級編に参加した。
初級編の主題は基礎知識とペアリングだ。具体的には、
- コーヒー豆からその産地までの基本的な知識
- 産地別のコーヒー・テイスティング
- コーヒー・プレス、ミルク・フォーマーを用いたコーヒーの淹れ方
- フォーム・ミルクと合わせたときのテイスティング
- シロップと合わせたときのテイスティング
- お茶菓子と合わせたときのテイスティング
コーヒーに関する雑学的知識だけでなく、スーパーなどの一般店舗でコーヒー豆を買い求める、自分で淹れる、そして楽しむために実用的な知識がバランスよく提供される。
まず適切なコーヒー豆を選択するには、品種とロースト加減の特徴を知る必要がある。具体的には、
- コーヒー豆の2大原種:アラビカ、ロブスタ種
- 産地ごとの風味の違い
- ロースト加減、風味と特長
次にテイスティングだ。ただ飲んで、風味や味わいの特徴を感じるのがテイスティングではない。定石のような味わい方があるのだ。特口に「含む」のではなく、「啜る」のがポイントだ。
- 香りを確かめる時は、手でカップの口を2/3ほど覆い、空いているところから確かめる。
- 口に含むときは、舌にスプレーするように啜る。
- 啜るときに音が立つのだが、ここでは不作法ではない。
- 舌のどの部分に刺激を感じるのかを確認する。
- 確かめるのは、香り、味、コク、風味
- 「自分の言葉」で印象を表現する。
このテイスティングの対象は、コーヒー単品の風味を確かめるためだけでなく、ペアリングによって生じる風味の変化にも及ぶ。ミルク、シロップのような、コーヒーに直接加えるものだけでなく、コーヒーと合わせて口にするお茶菓子との相性を検証するような感覚だ。
セミナーで検証するのは、
- ミルクを入れることによって、どのような風味が抑えられるのか?
- フレーバー・シロップを加えることによって、新たな香りの要素が加わると同時に、味わいがどのように変化するのか?
- さらに、お茶菓子の風味を加えるとどうなるのか?
お茶菓子との組み合わせは、単純にコーヒーを飲んだ後にお菓子を口にする、あるいはその逆によって生じる感覚だけでなく、一緒に口にする、アレンジによって生じる感覚も検証する。例えば、ヌガーとナッツをあしらったクッキー・スティックをコーヒーに「浸して」、コーヒーの味わいの変化を評価するものだ。
コーヒーとお茶菓子を区別して、それぞれの苦みと甘さ、相互作用のコンビネーションを楽しむだけでなく、あえてそれを「浸す」ことによって、コーヒーの味わいに変化をつける。
セミナーでは、自分で淹れる場合のTips的なノウハウも情報提供してくれた。印象に残ったのは、
- 薄口のコーヒーをi淹れる時は、淹れるコーヒーをお湯で薄めること。
- 風味を損なわない工夫。
- 水を多め、あるいは豆を少なめにするのではなく、適量で入れたコーヒーをお湯で薄める。
- ペーパー・ドリップの時は最後まで淹れ切らない。
- ペーパー・ドリップの上澄みに浮かぶ泡はエグ味の元。
- 落ち切る前にフィルターは外すこと。
- コーヒー・プレスの良い点。
- 抽出中に豆が空気に触れることがない。
- より香りが楽しめる。
このような味わい方を知ると、単純に日常生活に適用するだけでなく、楽しみ方の幅も広げてくれる。