3連休の最終日、9月18日のお昼過ぎ、フィットネスクラブから帰宅して洗濯を始めた。洗濯機を動かしているうち、給水機能の異常に気付いた。このようなトラブルに遭遇すると焦るのは、それが突然、予期せずやってきたことに加えて、諸々の対応、その負担が一度にのしかかってくるからだろう。このトラブルの場合では、
- 仕掛中の洗濯どうする?
- どこに異常がある?→問題個所の絞り込み、特定
- 修理
- そもそも修理対象?
- いつ修理できる?
- 修理費用はどれくらい?
- いつから使える?
- 買換え
- 買換え費用はどれくらい?
- いつ届く?
- 復旧までの洗濯どうする?
といった具合で、さらに各要素間の依存関係もある。それぞれの事情や余裕次第では、これだけでパニックになる人もいることだろう。
今回、幸いなことに18日のトラブル発生から、21日の新品搬入まで、4日間で問題解決することができた。この投稿で紹介するのは、その間に調べたこと、考えたこと、解決までの顛末だ。
トラブルに遭遇しないことが最善だが、将来のリスクに備えて、何を考えておく必要があるかを知っておくのにも有用だろう。
問題の整理
まず問題を整理する。冒頭で触れた要素を分類、整理すると、次のようになるだろう。
整理された問題
洗濯 | 復旧までの対応 復旧までの費用 |
洗濯機 | 修理か買換えか 費用 復旧期間 |
確認すること
洗濯 | 仕掛中の洗濯への対処 今後の洗濯への対処 |
コインランドリー | 場所 営業時間 費用 |
洗濯機修理 | 問題個所 サポート対応可否 サポート連絡 |
洗濯機買換え | 必要な機能 価格と関連費用 搬入日 |
最初は修理の前提でいたのだが、対応を重ねていくうちに買換えることにした。一番大きなポイントは、ヨドバシ・ドット・コムが提供する24時間オペレータ電話対応だった。深夜1時過ぎ(つまり19日)の注文であったにもかかわらず、深夜1時半には21日の搬入まで段取りできてしまったことだった。
経緯を順番に説明していく。
洗濯機の問題特定~修理
問題個所の絞り込み
修理をお願いしようにも、まず何が起きていて、どこに原因がありそうなのかを確認する必要がある。私の場合は給水機能なので、給水経路上の問題を確認した。
水道 | 止水栓は開いていた | 問題なし |
ホース | 詰まりなし、水も出る | 問題なし |
給水フィルタ | ブラシ清掃 | 問題なし |
洗濯機までの給水経路は、水道、ホース、給水フィルタだ。経路上の水の流れを確認する。蛇口を閉め、洗濯機からホースを外し、ホースの口に洗面器を当てて蛇口を開くと、問題なく水が出る。つまりホースに詰まりはなく、問題はない。洗濯機の吸水フィルタに、水を塞き止めるほどの汚れはなかったものの、使い古しの歯ブラシで磨き、汚れを落とす。しかし問題は解決しなかった。
つまり原因は洗濯機の内部にあり、それは給水弁の故障、あるいは内部ホース詰まりだろうと想像できる。水漏れしているわけではないので、おそらくは前者が原因だ。
サポートサイトによると、給水弁の交換は最大21000円だ。複合的に関連部品一式が原因としても、最大79000円+出張費用ということになる。この価格より安い洗濯機は存在するし、この価格を目安に買換え候補を選んでも良いだろう。いずれにせよ、修理費用の見込みが分かった。
サポート連絡
最近は出張修理もweb予約の時代だ。修理受付以前に、入力した情報に応じて、サポート可否が判断される。web出張修理受付では、当日から20年以上前の購入年月の入力は受け付けていない。つまり9月18日時点では、2003年10月以降に購入した製品がサポート対象となる。
私の場合、2003年1月購入の東芝製品でサポート外となるのだが、ダメもとで2003年10月購入として申し込みした。ホースや給水弁は部品に互換性があることが多いし、何より出張対応可能日を確認したかったのだ。この時点での最短は、10月2日対応だった。
つまり出張修理までに2週間を要し、仮に修理可能と判断されても、持ち帰りとなれば復旧までには、さらに日数を要する。私は個人的な見積もりとして、復旧までに2週間から1か月を想定した。
コインランドリー
まず仕掛中の洗濯物を解決する必要がある。近隣に頼れる人たちがいれば、彼らの洗濯機を借りるのが一番だろう。私の場合、頼れる人はいないのでコインランドリーを使う必要があった。徒歩圏にコインランドリーが営業していたことは、率直に言って幸運だった。
しかし経済的な観点に加え、後述する不条理な心理的負担とリスクから、可能な限り利用を避けたい施設だと感じた。
洗濯費用は店舗によるのだろうが、私が訪問した店舗では、洗濯1回の価格は以下のような具合だった。洗剤、柔軟剤も価格に含まれている。洗濯機に関わらず、乾燥は一律+100円だ。仮に週3回で1か月間利用すると、最低でも8000円前後の出費になる。
12kg対応洗濯機 | 600円 | |
22Kg対応洗濯機 | 900円 | |
32Kg対応洗濯機 | 1200円 |
ただコインランドリーがあるからと言って、出かけてすぐに利用できるわけではない。使いたい洗濯機が使用中であれば、その洗濯乾燥が終わり、そのユーザーが「取り込み終える」まで待たなければならない。洗濯乾燥中、ユーザーが現場待機せず、時間を見計らって戻ってくる場合もあり、目的の洗濯機が利用可能となるまでに30~1時間待たなければならないことがある。
コインランドリーの運営方針として、次に使うユーザーが勝手にカートへ取り込みし、使い始めることを許容している店舗もある。しかし、これはユーザー同士のトラブルを招きかねないリスクがある。特に使用中のユーザーが女性で、次に使いたいユーザーが男性の場合だ。
このような点について、男性のコインランドリー使用には、理不尽かつ無用なリスクとストレスを伴う。
結局、コインランドリー利用は当日、2日後の2回で済んだ。しかし当日は夕方まで問題確認からサポート連絡、コインランドリーを終える頃には夜7時を過ぎていた。
洗濯機の買換え
故障した洗濯機は東芝、快速銀河21、TW-742EXという約20年前のドラム洗濯機だ。当時の価格で109800円だった。乾燥機能はヒートポンプではないものの、機能的な不満はなく、同メーカー、同スペック、同価格帯の商品を候補に想定していた。しかし、それは無理だった。
画像は東芝製洗濯機を絞り込み、価格降順で並び変えたもの一部、指定価格のドラム式洗濯機が掲載されている箇所の抜粋だ。一目瞭然、東芝はドラム式を完全なハイエンド・ラインに位置付けており、20~40万円の価格帯に設定している。もやは東芝に10万円前後のドラム式洗濯機はなく、同価格帯ではシャープかアイリスオーヤマしか選択肢がない。
ドラム式か縦型か?
ここで一考の余地があるのは、本当にドラム式が必要か?ということだ。乾燥までを考えればドラム式だが、新型コロナ流行以後、生活スタイルの変化によって乾燥機の使用機会は激減どころではなく、昨年も今年も年に1度しか利用していないのが、私の現状だ。理由はスポーツウェアや速乾タオルなど、化繊、混紡衣類の増加だ。特に春~秋の部屋着はスポーツウェアとなり、今やバスタオルですら中空糸の速乾仕様だ。いずれも乾燥機不可、あるいは乾燥機に適さない、そのような衣類が増えた。
impsbl.hatenablog.jp
しかし結局、ドラム式の選択に落ち着いた。私の場合、理由はランニング・コストだった。仮に乾燥機能を一切利用しなかったとしても、とにかく違い過ぎるのだ。なぜアイリスオーヤマが洗濯機能のみ、乾燥機能無しのドラム式洗濯機*1を販売したのか、その理由を今、やっと理解できた気がした。
仮に10万円のドラム式洗濯機、5万円の縦型洗濯機を比較する場合、差額5万円が想定期間の使用回数によるランニング・コストで損益分岐を予測できる。仮に10年利用するとすれば、洗濯機に関わる水道料金、電気代の10年合計が5万円より安いか、高いか、ということだ。
洗濯機用置台、防振かさ上げ台
洗濯機の買換えに際し、いわゆる置台の同時購入は検討の余地がある。経済的、かつ設置スペースに余裕があるなら、基本的には購入したほうが良い。
私の考える、購入したほうが良い理由の一つは、かさ上げ台を用いることで、洗濯機の排水口から、防水パンの排水パイプまで傾斜が生じることだ。これによって、排水が流れやすくなり、溜まりにくくなる。
防振は防音にもつながる。騒音は自分自身の生活への影響のみならず、周囲への騒音問題まで考慮すると、可能ならば設置しておきたい。
必ずしもメーカー純正品である必要はないのだが、トラブル時に保証適用外の理由にされてしまうリスクがあるので注意したい。
24時間対応、最短2日後納品
何にしたところで、いつかは壊れるものだし、20年も使い続けたのだから、故障するのは仕方のないことだ。しかし3連休の最終日、午後から夜までを浪費する羽目になり、さらに予期せぬ無用な高額出費を強要されているように感じて、深夜の買換え候補の検索は、半ば投げやりなものだった。一気に気分が変わったのは「○○年〇月〇日までにお届け」の表記に注目したときだった。
最初、指定日に納品が可能なだけで、同日のリサイクル搬出、設置作業が保証されているわけではない、と解釈していたのだが、実際はそうではなかった。それら込みで「〇月〇日までにお届け」だったのだ。
復旧までに2週間~1か月を見込んでいたのだから、2~3日で復旧可能となれば話は変わる。
ヨドバシ・ドット・コムの場合、商品注文後に連絡方法の選択画面が表示される。ここで「お客様からヨドバシカメラへご連絡」を選ぶと、発注者の任意のタイミングで電話連絡できる。
深夜1時過ぎの注文成立後、直ちに電話連絡し、1時半には明後日のリサイクル回収、搬入、設置が段取りできてしまったのだった。
https://www.yodobashi.com/ec/support/beginner/setup/index.html#220125www.yodobashi.com
リサイクル回収、搬入、設置を注文時に指定することはAmazonでも、ビックカメラでも対応していることは知っている。しかし24時間電話対応可能なのかは分からない。もしこれがヨドバシだけの特徴なら、特にトラブルに遭遇しているユーザーに訴求するアドバンテージだと思う。
そして、先のweb出張修理はキャンセルすることになる。当日修理できるかどうか分からない出張修理までに2週間を要するのに、新品納品は数日という現実には、考えさせられるものがある。
余談:買換え前提、あるいはサブスクリプション化の可能性
スマートフォンやタブレット等の電子機器についての故障修理では、実際のところ修理など行わず、整備済み品など、事実上の中古品との交換対応となることが多い。洗濯機のような大型家電も似たような路線を踏襲するのではないか、今回の経験を通じて、そのようなことを連想した。
業務施設のメンテナンス、保守業務は、儲けは大きくなくとも継続的な安定収入となる。しかし個人ユーザーの大型家電はそうではない。商品のアフターサービス、サポートはメーカーの義務ではあるが、大きな収益機会に結び付かないとなれば、メーカー次第では、「コスト」とみなしているかもしれない。
今回の事例の様に、web出張修理の「訪問」までに2週間を要しながら、新品の到着は数日で済んでしまうのは、単純にコストと時間のトレードオフとみなすこともできる。しかし万人にとっての持続可能性まで考えるとどうだろうか。
壊れたから買い替える、全てのユーザーがそのようにできるわけではなく、可能な限り出費を抑制したければ修理してほしいだろう。しかし修理完了まで洗濯できない。人手不足の現状を考慮すれば、その期間は将来、長引くことだろう。
人手不足に「コスト」としてのアフターサービスを加味すれば、同等品と交換し続けるライフサイクル・モデルの方が、事業としてより効率的に持続可能かもしれないし、ユーザーにとっても有益なのかもしれない。つまりサブスクリプション化だ。
仮にそうなるとすれば料金はどうなるだろうか。コインランドリー並みの料金体形では高すぎる。そこから光熱費、リスク対応を含む店舗運営コストを除外する必要があるだろう。仮に100円/回、1日1回の前提で月3000円とすれば、年36000円、10年使うと36万円となり、これはハイエンド級のドラム式洗濯機を購入したのと、ほぼ同義だ。おそらく、これくらいが妥当な価格帯になるのではないか。