Technically Impossible

Lets look at the weak link in your statement. Anything "Technically Impossible" basically means we haven't figured out how yet.

フィリップス・シェーバーの徒然

2011年に電動シェーバーを使い始めた。PHILIPS Senso Touch3Dというモデルだった。このモデルは長持ちで、2018年8月まで稼働した。このシェーバーには洗浄充電器(以下、洗浄器)が付属していた。専用のクリーニング液で、使用後のシェーバーヘッドを洗浄してくれるのと同時に、シェーバーの充電を行う。洗浄器にシェーバーをセットすると、クリーニング液層へヘッドが漬かるように沈み込む機構を備えていた。この機構は付属品にしてはたいそうな機構に見えるのだが、先に逝ったのは洗浄器ではなく、シェーバーの方だったのが皮肉だった。

2018年から現在、PHILIPS社の9000シリーズを利用している。このモデルにも同じく洗浄器が付属しているのだが、先日、この洗浄器が故障してしまった。前モデルの洗浄器とは異なり、モーターがクリーニング液を汲み上げるシンプルな機構なのだが、前モデルの洗浄器の使用期間とは比べ物にならず、およそ2年で逝ってしまった。

色々なサイトを確認する限り、この故障原因は共通している。どうやら、このモデル特有の問題であるようだ。それはモーターがクリーニング液に浸かりっぱなしの状態で保持され、パッキンの劣化などにより、モーターが損傷する、というものだ。

フィリップスのユーザーにはこだわり派が多いらしく、フィリップス社はサポート外ではあるものの、モデルと備品の互換性を検証したり、自ら調達したモーターで、故障した機器の修理を試みるユーザーもいる。触発されて、私も一つ書いてみた。

サポート

サポートに連絡した結果、次のことが分かった。

  • 洗浄器の修理は実施しておらず、新品洗浄器との交換になる。
  • 新品洗浄器は10205円。
    • 到着時の現金引換え払いで発送する。
    • 交換された洗浄器の保証期間は3か月。
  • 2016年以降のモデルに付属の洗浄器は共通なので、買い直しても洗浄器は流用できる。
    • 9000シリーズ、5000シリーズで洗浄器のモデルは異なることに注意。

交換の場合、次のプロセスを経る。

  1. 故障した洗浄器をサポートへ郵送する。
  2. サポートは洗浄器を動作検証する。
  3. 故障が確認できれば、新品洗浄器の見積もりを案内する。

どうせ交換なのだから、現品発送なしに新しいものを送ってくれればよいのに、と思うところだ。サポートが言うには、あくまでも故障であることを確認した上で対応する、とのことだった。サポートを経て入手するには、1週間程度を要することだろう。

2016年以降の洗浄充電器付属モデルを購入するとなると、コストは交換の倍以上、2万円台だ。買い直すことによって、

  • 2年間の保証期間
  • 新品シェーバー→ヘッドを替え刃として流用可能

と考えれば、お得に感じるユーザーもいるだろう。

非公式ではあるが、洗浄器を単品で入手する方法もある。例えばAmazonにも出品されている。2020年6月6日時点の価格は、14999円。交換よりも若干高めだ。

どの方法を採用するにせよ、問題なのは洗浄器の品質だ。どうしたところで品質が向上するわけではなく、同じくらいの使用期間で故障するかもしれないリスクは変わらない。

クリーニング液

2016年以降の洗浄充電器から、クリーニング液の販売方法が変わった。従来ボトル詰めされていたものが、カートリッジ式に変わった。ボトル詰めの時代は、2週間で取り替える運用だったのものが、カートリッジ式では、一つを3か月間使い続ける運用に変わった。ボトルに比べてクリーニング液容量は少なく、カートリッジに内蔵されているフィルタで髭などを除去しながら、使い続けるのだ。
明らかにコスト削減、利幅の確保を狙ったものだ。ユーザーには何のメリットもない。

クリーニング液はカートリッジから蒸発する。洗浄充電器はこの水位を測り、交換の判断をしている。
サポート外の運用ではあるが、カートリッジのクリーニング液を捨て、カートリッジを丸洗いし、ボトル詰めのクリーニング液を規定の水位まで注ぎ直せば、カートリッジ交換することなく、清潔かつ低コストで運用することができる。

新たな運用手段

クリーニング液+洗浄器による運用のポイントは、シェーバー・ヘッドの清掃だけでなく、ヘッドのメンテナンスも兼ねている。特にクリーニング液の成分には、ヘッドの潤滑剤が含まれている。
とはいえ、フィリップス・シェーバーのハイエンド・ラインに、洗浄器付属のモデルは存在しない。習慣としてクリーニング液+洗浄液を用いていたが、果たしてこれは必要な運用だったのだろうか、と思い至った。

基本的にヘッドの分解、水洗いは避けられないとしても、洗浄器を用いる手軽さは維持したい。なるべく低コストの運用ができないものか、と次の運用に辿り着いた。

  • 発泡洗浄剤による清掃
    • カップにヘッドと発泡洗浄剤を投入し、水を注ぐ。
  • 使い古し歯ブラシによる清掃
    • ヘッドをばらして、歯ブラシで外刃、内刃をブラッシング。
  • クリーニング液による清掃
    • シャーレにクリーニング液をはり、外刃、内刃を浸して後、乾燥。

これらを任意のタイミングで組合わせて運用すれば、洗浄充電器の故障、クリーニング液の調達を気にする必要はない。発泡洗浄剤はドラッグストアで調達できる。具体的にはポリデントやパーシャルデントの「金具にやさしい」類だ。
フィリップスのシェーバーは、外刃と内刃の回転時に、お互いが研磨する。研磨する素材なのだから、薄膜のようなコーティングはされていないだろうし、発泡洗浄による劣化はないだろうと推察した。

余談

以前、供給者にはメリットがあるものの、消費者にはメリットが皆無の商品が散見される、という投稿をした。*1フィリップスの製品にも同じ趣旨を感じる。
シェーバーのクリーニング液、洗浄液のビジネス・モデルは、いわゆるプリンターがトナーやインクの消費で稼いでいるのと同じ構造だと察する。とはいえ、これまで2週間交換だったクリーニング液が、その内容量を減らし、交換無しに繰り返し3か月間利用し続けるモデルは、度が過ぎていやしないだろうか。もしそれで十分なのであれば、2週間交換の前提は何だったのだろう?
加えて、ハイエンド・モデルではクリーニング液による洗浄は不要とばかりに、洗浄器付きモデルがラインナップされていない。
使い続ければ髭クズが残り、分解掃除は避けられないとはいえ、クリーニング液と洗浄器の必要性は、ユーザー各自が再考するのが良いと思う。

あるいは、いっそジェネリック的なコピー品を買替候補として検討してみるのも有意義かもしれない。
impsbl.hatenablog.jp