ビジネス・ミーティング、セミナー、カンファレンス、大学の講義まで、ZoomをはじめMicrosoft TeamsやCisco WebExなどのコラボレーション・プラットフォームを利用する機会が日常的になってきた。デジタル**の時代、その接続端末はタブレットやスマートフォン、ノートPCが主流かもしれない。
自宅を作業場所とし、デスクトップPCを作業環境としているならば、デスクトップPCから出席できれば便利だ。しかし前述の接続端末群には標準的に備えられているものが、デスクトップPCには備えられていない場合が多い。具体的には次の機能だ。
- Bluetooth
- マイク
- カメラ
ミーティング中の顔出しが必須でなければ、カメラは不要だろう。作業環境がデスクトップPCであれば、ミーティング中での画面共有では、むしろデスクトップPCからの接続の方が好都合だ。
せめてBluetooth接続さえあれば、ワイヤレス・イヤホンをヘッドセットとして接続することで、最低限の環境を用意することができる。
そのための3通りの方法と、一番お勧めの方法における補足を共有したい。
- 3つの方法
- TP-Linkドライバではなく、Intel標準ドライバのインストール
- Bluetoothコーデック
- Bluetoothモジュールからアンテナまで個別部品一式
- Intel Driver & Support Assistant
- 参照
3つの方法
- Bluetoothアダプタ(USBドングル)を購入し、装着する。
- Bluetoothモジュールからアンテナまで個別部品一式を調達し、マザーボードへ取り付ける。
- Bluetoothモジュールからアンテナまで一式セットを購入し、マザーボードへ取り付ける。
方法1はBluetooth機能を備えるための、最も手軽で分かりやすい手段だと思うのだが、個人的には最もお勧め「しない」方法だ。Bluetoothを装備するだけでなく、それが「安定して動作し続ける」ことを考えたとき、信頼性のある製品が全く存在しないのだ。端的にはドライバの存在だ。おそらくBluetoothは動作し、機器は接続できるだろうが、ヘッドセットが音飛びせず音声をやり取りできるか、となると満足できる製品はまず存在しない。
方法2、3は、実際のところ、本質的には同じ作業をしている。異なるのは必要な部品をバラバラに調達するか、製品として一式パッケージされているものを購入するかの違いだけだ。
2の方が若干お得なケースもあるかもしれないが、おそらく利便、簡便と十分トレードオフできる程度の差が生じるケースは少ない。個人的なお勧めは3だ。
あえて2で対応したい読者のために必要な部品一式を紹介しておく。
- Bluetoothモジュール(M.2接続、あるいはミニPCIEのもの)
- PCIe接続用ライザーカード(M.2、ミニPCIEの種別に注意)
- アンテナ
- Bluetoothモジュールとアンテナに対応したブラケット
各部品の具体例は投稿末尾にまとめているので参考にしてほしい。
Bluetoothモジュールは、通常Wi-Fiモジュールとして販売されている。その一機能としてBluetooth機能が提供されている。定番はIntel製のものだ。
マザーボードにM.2、あるいはミニPCIE端子が備えられており、Bluetoothモジュールを直接装着できるのであれば、ライザーカードは不要だ。
アンテナはPCのケース外に装着するため、ケース内にあるモジュールとアンテナを繋ぐ必要がある。ブラケットは、その繋ぎ口を備える必要がある。
これらの部品が一式パッケージされているのが、例えばTP-Link TX3000Eのような製品だ。この製品の場合、ヒートシンクが付いている分、お得と考えられる。
これはサポート無し、自己責任の行為ではあるが、将来、互換性のあるWiFi/Bluetoothモジュールが登場した場合、モジュール部分だけを交換して、他は再利用できる可能性もある。結局、対応していることは本質的に2と変わらないのだ。
TP-Linkドライバではなく、Intel標準ドライバのインストール
TP-Link社の製品に限らず、類似の製品でBluetooth機能を司っているのはIntel社のモジュールだ。TX3000EではIntel AX200が採用されている。
TX3000E用のドライバは、TP-Link社のサイトからダウンロードできるのだが、ここはIntel社のドライバを用いるのが良いだろう。標準ドライバであるだけでなく、TP-Link社のドライバよりも更新日が新しい。
Intel社のドライバを個別にダウンロードし、インストールしても良いのだが、Intelは便利な無料ツールを提供している。「インテル ドライバー & サポート・アシスタント」だ。このツールは稼働中のIntelデバイスを自動認識し、必要なドライバのダウンロード、インストール、最新ドライバの通知等をアシストしてくれる。具体的には、次のような画面だ(投稿末尾の"Intel Driver & Support Assistant"を参照)。
TX3000EをPCへ取り付ける前にインストールしておくことをお勧めする。インストール後、TX3000Eをマザーボードへ装着し、PCを起動すれば、アシスタントがドライバのダウンロードとインストールを促してくれる。TP-Linkのドライバをインストールする必要はない。
downloadcenter.intel.com
Bluetoothコーデック
スマートフォンとワイヤレス・イヤホン間のBluetooth接続で、よく話題になるのが「音ズレ」だ。Lip Syncやレイテンシ(音、あるいは動画の遅延)と称されることもある。Bluetoothでも、より上位バージョン同士の機器を接続したり、aptXやAACのようなコーデックをサポートしている機器同士を接続することによって解決、あるいは症状が緩和されることがある。
コーデックは通信する機器の送受信側の両方で、同じものがサポートされていなければ機能しない。例えば、イヤホンがaptXに対応していても、それを接続するスマートフォンが対応していなければ、aptXは機能しない。
具体的には、次の4項目を満たしている必要がある。
- 送受信側のハードウェアがコーデックをサポートしている
- コーデックをサポートしているSoC、あるいはDSPが搭載されている必要がある。
- コーデックのライセンス料が支払われている。
- コーデックがインストールされている。
- インストールされたコーデックが機能している。
あるOSでは2を満たしているものの、ライセンス料が支払われておらず、コーデックが利用できないかもしれない。ライセンス料を支払っていないにもかかわらず、利用可能である場合もある。もちろんライセンス違反だ。OSによっては意図的にコーデックが削除されていることもある。
このようなケースの典型例が、Googleが提供するAndroid、それを搭載する携帯端末がサポートするコーデックを取り巻く現状だ。Bluetoothとコーデックについては、OS供給元だけでなく、それを搭載するハードウェア・ベンダーの意図もあり、イヤホンが対応しているからといって、そのコーデックが有効活用される保証はない。
Windows 10の場合も同様だ。Windows 10はaptXをサポートしているのだが、それが正常に機能するかは、使用する機器に依存する。
docs.microsoft.com
source.android.com
Bluetoothモジュールからアンテナまで個別部品一式
Intel Driver & Support Assistant