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相変わらず米国の相場が強い。米経済活動正常化期待の背景にあるのは、間違いなくワクチン接種の拡大だ。半年後、それ以降の将来を織り込んでいるのが株式市場だと言われる。ワクチン接種によって感染拡大が抑制され、コロナ前の経済状況に戻るのも時間の問題、と解釈されるならば、少なくとも先々の経済事情は良好に捉えられるし、加えてこれまで抑制されていた消費行動が解放されることにより、直近の経済回復にも勢いが加わる。
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欧州もワクチン接種を背景とした経済正常化を織り込もうとしている。
一方、日本の市場は弱い。現在の相場にこれまでの勢いはなく、日経平均3万円越えを維持する気配がない。
- 日銀の金融政策見直し
- 先進国中、ほぼ最下位のワクチン接種状況
相場を後押ししてくれる材料にも欠けるのだが、コロナ感染者について日本は諸外国に比べて、特殊な立場にある。この事情を考慮したとき、ワクチン接種状況よりも、むしろワクチン「確保」の話題の方がポジティブなのではないか、と思い至った。
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日本の感染者数は約50万人、死亡者数は約9000人と、諸外国に比べると圧倒的に少ない。多い順にランクすると40位前後だ。毎日、感染者数増加がニュースで喧伝されるのだが、それでも諸外国と比べれば少ない。
諸外国においてはワクチン接種そのものが状況改善のkeyになるだろうが、日本においては感染者数が相対的にも、絶対数でも大きく少ないことから、ワクチン接種そのものが状況改善に寄与する効果も小さい。
このような状況では、ワクチン接種状況よりも、次の2点について、特に海外先進国へ十分に周知されるだけで、欧米と同程度に経済活動正常化を織り込むくらいの後押しになるのではないだろうか。
- 人口分のワクチンを確保していること
- 接種意思のある日本人全員へのワクチン接種完了も、時間の問題であること
そこでワクチン確保、それを主題とするニュースを作り得るのか、という可能性を考えたとき、最も直近で可能性がありそうなのが、菅首相の訪米だ。
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例えば、次のようなシナリオはどうだろう。
米国 | 日本へのワクチン提供 |
日本 | 米国債購入 |
米国債調達のため、日本ではUS$需要が発生する。つまり円売り、ドル買いだ。ワクチンのためとはいえ、少しでも安く米国債を調達しようと思えば、US$を安く調達する必要がある。つまり、円高誘導だ。一方、米金利上昇による動きもある。
この時のドル円為替相場は、次の要素のバランスによって決まる。要素だけ見れば円安ドル高優勢だ。
円高誘導 | 円高ドル安 |
実需圧力 | 円安ドル高 |
米金利上昇 | 円安ドル高 |
円安ドル高になっても、ワクチン接種した外国人が日本へ旅行できるわけではない。だからインバウンド消費は生まれない。インバウンド消費無しに円安の恩恵を受ける手段の一つは、日本資産の購入だ。将来の経済正常化を前提にすれば、購入候補は「現時点において」割安な資産だ。
- 旅行関連
- 空運
- 景気敏感株
現在、これらは出遅れ銘柄とされ、低PER、低PBRに据え置かれている。
もし好決算に伴い、値がさ銘柄の一株利益上昇、PER修正に伴う利益確定売りが重なれば、その資金が、やはり出遅れ銘柄に流れることで、日経平均は下げながらもTOPIXの買い支えに繋がり、業績相場へと流れが変わっていくのではないだろうか。