これは2005年に以前のブログへ投稿したエントリーを加筆、編集したものです。
他所のお宅を訪問したとき、自炊派なら気になるのが台所だ。どのような素材を用い、どのように調理しているのか。それが外国人宅ともなれば、尚のこと気になる。インド人の場合はどうだろうか。
先日のパーティ*1での訪問をきっかけに、彼らの食事事情の一端を垣間見ることができた。インド人の自炊でも、彼らなりに日本で調達するものもあれば、実家から送られてくるものもあるのだ。
バスマティ米
まずはお米だ。目黒にて、1kg入り、300円で調達したのだそうだ。
インド産の白米で、バスマティ米という。DAAWATは企業名だ。タイ米と同じく長粒種で、ピラフやカレーに合う。彼らはこれを炊飯器で炊き、カレーや炒飯ぽいものを作る。
www.daawat.com
Puliogareパウダー
日本人がカレーを作るに際し、ルーやレトルトを用いるように、一から何でも自炊するわけではないのは、インド人も同じだ。そこにも彼らなりの調理材料が存在する。
写真の彼が掲げるパッケージは、Puliogareパウダーという。Puliogareは南インド(タミルナードゥ、カルナータカ)の料理で、日本人的に表現すればドライ・カレー、あるいはカレー炒飯だ。
そのパウダーは、タマリンド、各種スパイスを配合した調味料だ。パウダーとはいえ、実際には若干湿り気のあるカレー・フレークとでも呼ぶべき形態だ。これをオイルで炒め、さらにご飯と一緒に炒め合わせて仕上げる。
日本的カレー炒飯と言えば、S&Bカレーパウダーの風味ではないだろうか。カレーライスのような味わいはなく、まさにカレーの風味だけを取り出したような印象だけが残る。しかし、Puliogareは違うのだ。スパイスの利いたカレー風味に違いはないが、これに具材を合わせてカレー・ルーを作れば、日本式カレーとして通じてしまいそうなほど印象に残る味わいがある。
日本人にとって、ステレオタイプに思い浮かべるインド料理と言えばカレーに違いない。しかし、そのカレーは日本化されたものであり、決してインド本来のものではない。インド人がカレーと呼ばずとも、日本人はカレーと呼んでしまう、まさにその典型例がこれだ。
priyafoods.com
チャツネ
カレーと一緒に、チャツネも日本ではお馴染みの食材だ。その代表例と言えば、ジャム、あるいはピューレのようなマンゴー・チャツネだろう。しかし、実際にはたくさんの種類がある。
写真右下に映っているものは、マンゴーの漬物をチャツネにしたものだ。チャツネ独特のスパイシーさがありながら、未熟なマンゴーを用いていることから、酸味が強い。意外なことに、その風味は梅干しに近い。
さらに意外なことに、これはご実家から送られたものだそうだ。入手経緯も梅干し的なのだ。
刺身などの生食を除き、外国人の苦手な日本食のステレオタイプが海苔、納豆だ。現実には梅干しも、ワーストを競う食品の一つだ。その点で言えば、このチャツネは必ずしも万人受けするものではないのだろう。
インド食材に梅干しとの関連を見出せる、この意外性は収穫だった。