連日の睡魔対策にゲームをする*1、という習慣を取り入れ、5月から遊んでいたのが『ドラゴンクエスト3』*2だった。
丁度最近はHD-2D版でのリメイクが話題だが、遊んでいるのはファミコン版だ。過去、スーパーファミコン版も遊んだことがあるのだが、性格や双六、クリア後の追加ダンジョンといった、無用な追加要素、やりこみ要素のない、ファミコン版のシンプルさが気に入っている。使用可能な少ない色数で描写された鳥山明モンスターの雰囲気も良い。
過去に遊んだのとは違う楽しみ方として、試してみたいパーティ構成*3もあり、再訪することにした。
パーティ構成
ドラゴンクエスト・シリーズで、初めて転職を採用したのが今作だった。とはいえ、最初に遊んだとき、それは事実上、魔法使いを賢者にするためにしか利用しないシステムだった。その結果、私には定番のパーティ構成は決まっていた。
スタート | 中盤以降 |
---|---|
勇者 武闘家 僧侶 魔法使い |
勇者 武闘家 僧侶 賢者 |
前述の「お勧めパーティ」は、この転職を十分に堪能できる構成になっている。具体的には、
初期状態 | 勇者 武闘家 商人僧侶 |
|
船を入手後 | 勇者 武闘家 遊び人 僧侶 |
開拓地で商人をリリース 遊び人装備:般若の面、派手な服 |
ネクロゴンド | 勇者 戦士 賢者 賢者 |
武闘家→戦士 遊び人→賢者 僧侶→賢者 |
- 「さとりのしょ」を入手する→僧侶から賢者へ転職
- 商人離脱後に遊び人を加える
- 遊び人をレベル20まで成長させる→遊び人から賢者へ転職
- 「まじんのオノ」を入手する→武闘家から戦士へ転職
この構成は、レベル上げの負担が増え、クリア時点で全ての呪文を覚えて切れていない(すべての呪文を覚えていなくとも十分強い)というレードオフがあるものの、ゲームに盛り込まれた諸々の仕掛けを十分に堪能できる。
ただし気にかけておきたいのは、イベント消化のタイミングだ。転職直後に、最大HPが減少するからだ。最初の転職タイミングがジパング直前であれば、「やまたのおろち」のブレス攻撃は難所になる。
ゾーマ戦
今回のクリア時点で、レベルは次の状態に達していた。勇者は転職できないため、そのレベルがプレイ時間の尺度として機能する。勇者以外は転職を経験しているため、少なくとも示されたレベル数に加えて、最低20レベル分の下積みがある。従って、すべての呪文を覚えていなくとも、ステータス上は十分クリアできる状態に仕上がっている。
レベル | ゾーマ戦の役割 | |
---|---|---|
戦士 | 34 | ひかりのたま こうげき |
賢者 | 32 | けんじゃのいし フバーハ |
賢者 | 31 | ベホマ(攻撃魔法として) |
勇者 | 36 | ベホマ(攻撃魔法として) |
これが仕様なのかバグなのかは不明だが、ベホマが、ゾーマに最も有効な攻撃魔法として機能する。このレベル状態では、戦士の攻撃1回分のダメージが60~80程度に対して、ベホマは、その2倍程度のダメージを与えることができる。さらに賢者と勇者で2度攻撃するのだから、1ターン中のダメージは300足らずといったところだ。
賢者は、すべての呪文を覚えていない状態だったのだが、ゾーマ戦は全く呆気なかった。少年時代の体験を思い出せば、持久戦、長期戦のようなジリジリとした印象があったのだが、10ターンを要することもなく倒してしまった。
期待値
少年時代、そして大人になってからの遊び方の違いとして大きいのは、情報量と、その解釈だ。例えば、少年時代は、数値上の単純比較だけで済ませていたところに、期待値の概念が適用できる。見た目の数値では単純に比較できない要素があるのだ。
そして、それを実際に計算してみると、ドラゴンクエスト3では、これがバランスよく定義されていることに気付く。
「みかわしのふく」と「てつのよろい」「はがねのよろい」
これら、ほぼ同じタイミングで登場する防具は、性能、価格に違いがありながら、絶妙なバランスで定義されている。それぞれの防御力、特性は、
防御力 | コメント | 価格 | |
---|---|---|---|
みかわしのふく | 20 | 1/8の確率で回避 ダメージなし |
2900 |
てつのよろい | 25 | 1100 | |
はがねのよろい | 32 | 2400 |
100のダメージから防御力を相殺できるとすると、被ダメージの期待値は
はがねのよろい | 68.0 = 100 - 32 |
みかわしのふく | 70.0 = 0.875(100 - 20) + 0.125(100-100) |
てつのよろい | 75.0 = 100 - 25 |
期待値だけ見れば、「みかわしのふく」は「はがねのよろい」に匹敵するのだが、装備可能な職業は多い、しかし若干高価だ。設定値は適当に決められているようで、実際には絶妙にバランスするよう定義されているのが分かる。
「まじんのオノ」「はかいのつるぎ」、そして「じごくのよろい」との組み合わせ
「まじんのオノ」と「はかいのつるぎ」にも同様の特性がある。どちらも終盤に登場する武器だが、一方はマップに配置されたアイテムとして入手し、もう一方は呪われた装備でありながら、お店で販売されている。
どちらも、特定確率で会心の一撃、あるいは攻撃ミスが生じる。単純に、会心の一撃は与えるダメージが2倍になる、と解釈すれば
はかいのつるぎ=96.250
名目攻撃力 | 確率 | 係数 | 実質攻撃力 | |
---|---|---|---|---|
通常 | 110 | 5/8 | 1.000 | 68.750 |
会心の一撃 | 110 | 1/8 | 2.000 | 27.500 |
ミス | 110 | 2/8 | 0.000 | 0.000 |
まじんのオノ=90.000
名目攻撃力 | 確率 | 係数 | 実質攻撃力 | |
---|---|---|---|---|
通常 | 90 | 6/8 | 1.000 | 67.500 |
会心の一撃 | 90 | 1/8 | 2.000 | 22.500 |
ミス | 90 | 1/8 | 0.000 | 0.000 |
「じごくのよろい」を装備すると、1/4の確率でミスが生じる。この計算は、武器の計算とは独立しているとすれば、ミスする確率が増える。もし「はかいのつるぎ」と同時に装備すると、
じごくのよろい+はかいのつるぎ=79.922
名目攻撃力 | 確率 | 係数 | 実質攻撃力 | |
---|---|---|---|---|
通常 | 110 | 0.492 | 1.000 | 68.750 |
会心の一撃 | 110 | 0.094 | 2.000 | 68.750 |
ミス はかいのつるぎ |
110 | 0.188 | 0.000 | 0.000 |
ミス じごくのよろい |
110 | 0.180 | 1.000 | 0.000 |
どちらも呪われた装備なのだが、「はかいのつるぎ」だけであれば装備する価値はある。