Technically Impossible

Lets look at the weak link in your statement. Anything "Technically Impossible" basically means we haven't figured out how yet.

ブラックオニキス/The BLACK ONIX - 蘇るPC-8801伝説 永久保存版


ゲーム『ブラックオニキス』を知っている人は多いと思うが、実際に遊んで、さらにクリアした人はどれだけいるのだろうか。私もそのような一人だった。小学生の時、近所の友達がFM-7で動かして見せてくれたのを覚えている。

当時、まだ『ドラゴンクエスト』は発売されておらず、RPGというのはPCゲームだけのジャンルだった。さらに付け加えると、日本における、その嚆矢となった作品の一つがこれだ。だから、その時は、まったく訳が分からなかった。
インターネットもなかった当時、それでも実際に遊んでみるどころか、実機に触れることすらなく、周囲から伝え聞く情報、雑誌の立ち読みだけで、ゲームの遊び方だけでなく、その詳細な内容までをも理解、把握してしまうのだった。

今やっと、その知識と情報を実践してみる機会が訪れた。


きっかけは連日の睡魔だった。強烈な眠気に襲われて、転寝で数時間を無駄にしてしまうのをどうにかできないか。その回避策として、眠気回避につながりそうな単純作業的ゲームはどうかと模索し、思い浮かんだのが『ブラックオニキス』だった。

ちょうど一週間前(12月17日)に着手し、毎日1~2時間程度遊んで、昨晩(12月23日)、ブラックオニキスを発見した。

ブラックオニキス』という単純作業

このゲームは、とにかく単純作業の繰り返しだ。プレイヤーのやることといえば、何も考えることなく、ダンジョンをマッピングしながら探索し、ただレベルを上げていく。

タワー最上階にあるブラックオニキスを目指して、ただモンスターを倒しながらダンジョンを探索する。それだけだ。ストーリに通じるようなシナリオやイベントは皆無だ。
装備品も店売りのみで、稀にドロップ・アイテムとして「マホウノ~」(魔法の~)といった、その強化版を入手できるくらいだ。
最終装備は防御、回避重視の盾装備にした。攻撃を受けたとき、「~ウケトメタ」「~ヨケタ」と表示される。前者の場合、実際には攻撃がヒットしているのだが、アーマー・クラスに救われてダメージに至っていない。後者の場合、攻撃がヒットしていない。私は後者をより重視している。

効率的プレイ

そして作業なのだから、効率化することができる。ゲームの特性とエミュレータの機能を活用すれば、資金稼ぎとレベル上げ、ダンジョン探索を効率よく進めることができる。次のような具合だ。

資金稼ぎ
レベル上げ
探索可能な範囲を一周する
ゲーム・セーブ
ゲーム自体を再ロード
ダンジョン探索 エミュレータのステート・セーブ/ロード
※ゲーム自体の再ロードをしない

このゲームで遭遇するモンスターは、ほとんどが固定配置だ。固定配置のモンスターは、一度倒せば、ゲームを再ロードするまで復活しない。一番分かりやすいのは、井戸の5Fで遭遇するクラーケンだ。一度倒すと、次にゲームをロードするまで再戦することはない。
1階層のダンジョンを掃討してしまうと、ランダム・エンカウントでしかモンスターと遭遇しなくなる。そしてランダム・エンカウントは、このゲームでは、それほど頻繁ではない。

だから資金稼ぎ、レベル上げの最中は、ダンジョンのフロアを掃討する度に、ゲーム自体を再ロードし、繰り返し掃討する。そしてゲーム終盤のカラーダンジョンからブラックタワー最上階までは、ランダム・エンカウントのみで対処できるよう、可能な限りゲームを再ロードせず、掃討後の状態を維持する。

そのようにして遊んでいるうち、レベル7から経験値が上昇しにくくなった。固定配置、ランダム・エンカウントに関わらず、得られる経験値が相対的に減少していくのだ。レベル上げに飽きてダンジョンを探索しているうち、カラー・ダンジョンをクリアし、ブラックタワーを上り、はずみでブラックオニキスまで見つけてしまった。
バーバリアンをパーティに加えるべく、常にメンバー枠1名分を常に空白にしておいたのだが、ついにバーバリアンと巡り合うことはなかった。

カルマ→NPCは全員悪人!?

このゲームには、カルマという隠しパラメータがある。±50の範囲で善人/悪人の度合いを表している。

マニュアルには次のように書いてある

このときあなたは、次の3つの行動をとることができます。
①T(Talk)……出会ったものに話しかけます。相手が善人の場合は、続いて、
”ナニヲ ハナシカケマスカ?”
と聞いてくるので、
J(Join us)……「仲間に入ってください。」合計は5人までです。

話しかけて応答のあったNPCは善人なのだから、パーティーに加わるキャラクターは全員善人だし、加入後に悪人的行動をとらなければ、カルマが下がることもない、と私は理解していた。実際のところ、会話の応答に関わらず、NPCは全員悪人のようだ。

1パーティ、最大5名構成のうち、1名だけを作成し、そのほかのメンバーはNPCを募ることにした。特にバーバリアンと呼ばれる幻の高スペックNPCのために、常に1名分の枠を確保した4名構成で遊んでいた。つまり常在の3名はNPCだ。
カルマの値は、続編『ファイヤークリスタル』で確認することができる。私が作成したキャラクター”atom”のカルマは1、そのほかのNPCは-49だった。確認のため、タワー最上階でNPCを1名加入させた"Wilm"までも、カルマは-49だった。
少なくとも「相手が善人の場合は」というのは事実ではなさそうだ。

このまま『ファイヤークリスタル』に着手しようと目論んでいたのだが、どのように効率的に進められるか、再考を迫られている。

余談

ムック『蘇るPC-8801伝説 永久保存版』

2000年代後半、エミュレータレトロゲーム・イメージを、exeファイルとして一体化したものを収録したムックが多数出版される時期があった。『ブラックオニキス』は、ムック『蘇るPC-8801伝説 永久保存版』*1に収録されていた。しかも続編の『ファイヤークリスタル』までもが一体化されていたのだから、私のように「ただ知っているだけ」の人にとっては、実際に遊んでみる絶好の好機だった。実際に遊ぶ時間があるのかを考える以前に、まず「これは買うしかない」と思わせられた一冊だった。

収録されていた『ブラックオニキス』について


収録されているランチャー、並びに実行ファイルはWindows XPを対象としたものだが、Windows 11 23H2でも問題なく動作している。実行に際し、XPモードなど、実行ファイルのプロパティを操作する必要もない。

収録されているランチャーから呼び出されるのは、『ブラックオニキス』、『ファイヤークリスタル』とエミュレータが統合されたexeファイルだ。exeファイル、ならびに発売時のマニュアルがPDFファイルとしてスキャンされたものが、それぞれ次のパスに格納されている。

%PROGRAMFILES(X86)%\ProjectEGGPlus\PLSE010\game\ブラックオニキス&ファイアークリスタル
%PROGRAMFILES(X86)%\ProjectEGGPlus\PLSE010\manual

PC-8801で動作させていたのと同じセーブ、ロードに加えて、エミュレータによるステート・セーブ、ロードにも対応している。それらのデータは次のパスに保存されている。バックアップが必要ならば、必要なファイルを、あるいはフォルダごとコピーしておけばよい。

%APPDATA%\AmusementCenter

それぞれのファイルは、次の役割を担っている。

black_onix.ini キーボード・マッピング
black_onix.sav PC-8801動作でのセーブ情報
black_onix.SV* エミュレータのステート・セーブ情報