中学時代、理科は得意科目だった。当時の授業は今でも覚えている。担当の先生は授業中に、「サボテンの葉が針状なのはなぜか」といったテーマに関連するものの、教科書には答えが載っていない問いかけを提示し、自分で考えて回答を導き、発表することを生徒に促していた。その手の質問に正答できる生徒は限られており、私はその常連の一人だった。この本のタイトル『地球は本当に丸いのか?』の類題も、その問いかけに含まれていた一問だった。
その問いかけに対する私の回答は典型的なものだった。水平線上にある船影は、水平線から下の部分が隠れている、という極めて教科書的なものだ。これに先生は次の反論をした。地球の球面は人間、船に対しても巨大すぎるため、水平線までの領域も事実上の平面といって十分なくらいに平らではないか?
事実上平面なので船の喫水線から水平線によって隠された領域は、ほとんど分からないのではないか。つまり、それは地球は丸いことを示すのに不十分ではないか、ということなのだが...
常連回答者の一人だった私にとって、この問題は未だに満足な回答ができないものだったのだが、この本によって反証が示された。地球の巨大すぎる球面は人間、船に対して平面同様「なんてことはない」。十分、丸いのだ。
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