信用のない者には、利率も複利も関係ない。
president.jp
広告同然の記事なので、ネタにマジレスしても仕方のない事は分かっている。複利効果について書かれていることは正しいのだが、いつも不思議に思うのはその想定利率だ。幾ら効果を分かりやすく説明するためとはいえ、0金利の時代に5%や10%超の利子を前提にするのは、分かりやすさよりも、自説を有利に展開する意図の方が勝っていないだろうか。
この記事では、12%の利子を前提にしている。さらに「72の法則」を添えることで、12%の利子ならば、72 / 12 = 6年で投資資金が倍になると説明する。理屈ではその通りだが、現代社会において、それはどれだけ現実的なことだろう。
記事中で最も現実的なのは、次の引用だろう。
起業家にとっても長所があります。O.P.M.(他人の資金)で会社の成長を早めることができるからです。近代の大きな会社は、皆このような借りた資金を基に成立したのです。
融資を得られるのは、信用に裏付けられた者、つまり富裕層だ。0金利の金融緩和により事実上の無利息で、富裕層は資金を調達できる。融資を加えて資産は拡大し、その価値は投資によってさらに膨張する。こうして富は膨らんでいく。
一方、信用のない人たちにとって、いくら利率と複利の説明を説いたところで、預金金利は事実上0なのだし、0を複利にしたところで0なのだ。
加えて、そのような人たちには、0金利でも融資の機会は無いし、仮に機会があったとしても金利は0ではない。資産を拡大し、富を膨らませる機会は無いも同然だ。