市場に出回っているAndroid端末について、特に中華スマホと呼ばれる格安Android端末は、言うなればOEM製品のようなものだ。ARM互換SoCを搭載した基幹部分は、ほぼ共通でありながら、カメラやLCDサイズのようなハードウェア上の差異を差別化要素としている。
中華電子ピアノも、それと同じような状況にある。それらの基幹部分はフランスDream社のモジュール*1を中心に構成されている。そのためプリセット音源、それらの音質は、製品間に大きな違いはなく、ほぼ共通といっても良い。
中華スマホ同様、中華電子ピアノも差別化要素は、鍵盤数や折り畳み式といったハードウェア上の差異だ。
このような中華電子ピアノが低品質、玩具同然であったとしても、USB-MIDIに対応していれば、話は少々違ってくる。PC上にインストールしたDTMソフトウェア、音源ファイルと連携させることで、DTM環境を格安で整えることができる。
そのようなDTM環境構築の初めの一歩として、そのような電子ピアノをPCに接続し、DTMソフトから音を出すまでの手順を紹介する。
この投稿では、PC+中華電子ピアノMIDI動作確認後の手順を扱っている。まだ動作確認を終えていない読者は、前回の記事までの対応を終えてから読み進めて欲しい。
impsbl.hatenablog.jp
Cakewalk
Cakewalkは無料で使用できるDAW (Digital Audio Workstation)だ。無料で使用できるとは言え、アクティベーションのためにアカウントを登録する必要がある。アカウント登録からダウンロードまで、次のサイトで対応することができる。
インストールは最低限の構成で構わない。ユーザーの必要に応じて、あとからインストールできるし、何よりダウンロード時間とストレージ容量を節約できる。
テスト演奏までの手順
Cakewalkを起動したらプロジェクトを作成する。どれを選んでも構わない。まずCakewalkから電子ピアノを参照させるための設定を行う。
- ファイルメニュー:Edit > Preference
- 音声出力を設定する:Audio > Devices > Output Drivers
- MIDI入力を設定する:MIDI > Devices > Inputs
トラックを追加する。次の設定で「Create」ボタンを押下する。
Instrument | Default(TTS-1) |
Input | 接続している電子ピアノを選択 任意のMIDIチャンネルを選択 |
シンセサイザーTTS-1が起動する。電子ピアノ側のボリュームを絞っておく。この状態で電子ピアノの鍵盤を叩くと、PCからシンセサイザーの音が再生される。
sforzando
sforzandoはサンプリングされた音源ファイル(サウンド・フォント)を処理するためのソフトウェアだ。Cakewalk同様、無料で使用することができる。Cakewalkに追加したトラックにて、そのInstrumentにsforzandoを指定することで、様々な音源ファイルを用いて演奏することができる。
ダウンロードしたら、デフォルト設定でインストールする。
テスト演奏までの手順
Cakewalkでトラックを追加する。次の設定で「Create」ボタンを押下する。
Instrument | sforzando |
Input | 接続している電子ピアノを選択 任意のMIDIチャンネルを選択 |
sforzandoが起動する。sforzandoで次のように設定する。
INSTRUMENT | TableWarp2 |
電子ピアノ側のボリュームを絞っておく。この状態で電子ピアノの鍵盤を叩くと、PCからシンセサイザーの音が再生される。音源によっては、鍵盤すべてに音が割り当てられていなかったり、極端に音が低すぎて聴き取りにくいことがある。
サウンド・フォントの追加
サウンド・フォントは、ユーザーが任意に追加することができる。無料配布されているものをダウンロードしても良いし、市販されているものを用いても良い。
例えば、市販されている高品質ピアノ音源*2を用いれば、中華電子ピアノを用いているとはいえ、音だけは高品質化することができる。高品質ピアノ音源は無料で配布されているものもある。一方、高品質ゆえにファイル・サイズはGB単位になることもある。いくつかのサンプルを章末に例示している。
ここでは、次のサイトから任天堂ゲームボーイの音源をダウンロードし、試してみる。
asialunar.info
ダウンロードしたファイルを展開すると、SF2ファイルが生成される。このファイルをsforzandoでインポートする。初回インポート時、今後のインポートも含めたファイルの保存場所を確認されるので、適切に設定すること。
この状態で電子ピアノの鍵盤を叩けば、任天堂ゲームボーイの音で演奏することができる。