ゼロ年代、Web 2.0の代表企業として名を馳せた企業の一つがEvernoteだった。記憶が確かならSony Tabletや、SIMフリー版Xperiaには有料ライセンスがバンドルされており、それがきっかけとなって以来、私はEvernoteユーザーだ。
その創業者であるフィル・リービンは知日派で、「お~いお茶」を社内飲料にしたり、伊藤園とコラボレーションしたり*1、Web 2.0当時は景気が良く、賑やかなものだった。しかし、CEOが変わり商業主義的になると、改悪が続くようになった。そして、私を含めた多くのユーザーにとって、訣別のきっかけとなったのが、2020年10月のアップデート*2だった。
これをきっかけに、私も移行の検討を始めた。当時運用していたWiki「裏紙ノート」の一部投稿と合わせて、移行先に選んだのがOneNoteだった。率直に言って、タグの活用はEvernoteに劣るのだが、Office譲りの数式入力が、私にとっての決め手となった。
使い始めて半年が経過しようとしているOneNoteについて、まとめておく。
OneNoteの体系、構造
ノートの構造
Evernoteはタグを中心に構造化するメモだ。人によっては、タグによってグループ化するメモ、と呼ぶのが馴染みやすいかもしれない。「ノート」という大分類は存在するのだが、そこに含まれるメモは、タグを割り当てることで、ノートの枠を超えて分類することができる。
タグをフィルタとして見立てる人もいれば、仮想的なフォルダと見立てる人もいるだろう。そのように自由度が高いのが、Evernoteの魅力の一つだ。
一方、OneNoteはノート一つに対して、一つの木構造(ツリー構造)を保持している。Evernoteの様に自由ではない。具体的には、次のように構造化される。
OneNoteの要素 | 実態 | |
ノートブック | セクションを束ねる概念 | フォルダ インターネット・ショートカット |
セクション | ページを束ねる概念 | 単一セクション=単一ファイル |
ページ | テキスト、画像を入力するところ | ファイル内のデータ |
サブページ | 補足データ ページに追加する |
ファイル内のデータ |
- ノートブック
まずノートブックがファイルではなく、フォルダなのが目を引く特徴だ。OneNoteはクラウド対応しているため、ノートブックがオンライン上に保存されている場合は、オブジェクト・ストレージ(OneDrive)へのショートカットとして定義される。
- セクション
ルーズリーフにカラー見出し(インデックス)を挿入するように、OneNoteのノートブックにもインデックスを指定できる。それがセクションだ。一つのセクションが一つのoneファイルとして、所属するノートブックのフォルダに保存される。
- ページ、サブページ
ユーザーが情報を記録するのがページだ。ページは、所属するセクションのoneファイル内に記録される。
バックアップ、あるいはエクスポート
もし特定のノートをバックアップしようと思えば、2つの方法がある。
- ノートブックのフォルダを保存する。
- ノートブック全体をエクスポートする。
OneNoteとしてのバックアップであれば前者だが、ただ情報を保存するだけでなく、共有も考慮するときは「エクスポート」を活用することになるだろう。
任意の単位(ノート、セクション、ページ)を選択し、それを単一のoneファイル、あるいは他の形式のファイル(例えばPDF)として出力する。
どれだけ文章、画像を連ねようが、どれだけスクロールしようが、OneNoteの1ページは単一ページとして処理される。これを文書として複数ページに出力するには、エクスポートで出力する必要がある。
PowerShellを用いたエクスポート、未サポートのファイル形式への変換
OneNoteがサポートしているファイル形式は限られているため、Markdownのように未サポートの形式で出力するには、エクスポートしたファイルを変換するしかない。
また単一のoneファイルをエクスポートするにしても、ページごとに個別のファイルでエクスポートしたいこともあるだろう。特に多数のページをエクスポートする必要があれば、プログラムで対応を自動化したくなるはずだ。
これらに関連する話題を、次の投稿で紹介している。必要があれば、一緒に参照してほしい。
impsbl.hatenablog.jp
OneNote Web Clipboard
ChromeやEdgeなど、webブラウザで参照しているページをOneNoteに保存し、スクラップブックを作ることができる。秀逸なのは、スクロールで隠れている部分も含めて、ページ全体を取得してくれることだ。加えて、ユーザーが指定した任意の領域を取得することもできるし、OneNoteが自動認識した本文だけを取得することもできる。次の「Full Pageで取得」がそのサンプルだ。
🔎Full Pageで取得
ただし”Full Page”での取得には注意が必要だ。一見、ページ全体が綺麗に取得されているように見えるのだが、それは当然なのだ。なぜならば、そのすべては1枚の画像としてキャプチャされているからだ。OneNoteには画像から文字情報を読み取るOCR機能が内蔵されているとはいえ、実際のところ、あまり役に立たない。
🔎Articleで取得
”Article”での取得は、文字情報として取得されているので、OneNote内の検索を活用して参照する前提では、見た目は劣るかもしれないが、こちらの方が都合が良い。