これは2009年に投稿したエントリーで、以前のブログから引き継いだものに加筆したものです。
平成20年度版 国民生活白書が面白い。国民生活白書は下記サイトより、各省ごとに分割されたPDFを参照できます。
とくに第3節に掲載されている、幸福度に関する探求が興味深い内容です。
結論として、経済的な豊かさが向上しても生活には満足しておらず、所得の上昇、所得格差も幸福度とは明確な相関関係がないことを示しています。
具体的にどのような要素が幸福度に影響を与えているのか?を国民生活選好度調査のデータ推計からまとめた結果がこちら。
幸福度にプラスの影響
- 女性であること
- 子どもがいること
- 結婚していること
- 世帯全体の年収が多くなっていくこと
- 大学または大学院卒であること
- 学生であること
- 困ったことがあるときに相談できる人がいること
幸福度にマイナスの影響
- 年齢が高いこと
- 失業中であること
- ストレスがあること
影響なし
- 自営業であること
- 何らかのトラブルを経験したこと
まずマイナスの要素を考慮すると、
- 年齢が低い
- 何らかの職業に従事している
- ストレスがない
であれば、少なくとも幸福感には影響なし、場合によってはプラス要素になりえます。これらから想像すると、幸福な典型的日本人とは次のような人たちということになります。
学生の場合
- 世帯収入が増加中の家庭に生まれ
- 大学生、または院生で卒業見込み
- 相談できる人のいる人間関係を有する
社会人の場合
- 大卒社会人、なるべく若手
- 子持ち家庭
- 世帯収入が増加中
- 相談できる人のいる人間関係を有する
学生の場合はともかく、社会人の場合、少子高齢化、高齢結婚、場合によっては非婚の社会ですから、こういう人たちは少ないのではないでしょうか。ということは、大多数の人たちはこのような形態ではないため、幸福を感じる人も少ないだろうということです。
結果を馬鹿正直に信じるならば、現代社会の状況を考えると、幸福を実感することが少ない社会というのは、当然の帰結なのかもしれません。
とはいえ、世帯収入や年齢など、明確に計測できる基準の少ない曖昧な要素も含まれていますから、具体的にいくらもらえれば、何歳ならば幸福なのか?については明確な答えを見出すことはできないでしょうし、前節で収入と幸福度には明確な相関がみられないことも言われています。
確実に言えることは、人間関係、特に困ったことでも相談できるような関係性の深い人が含まれる人間関係を有することが、万人にとっての幸福観に寄与するessentialな要素であると言えそうです。
もし、より幸福になりたいと願うならば、結婚や収入を考える前に、自身の人間関係を見直し、相談相手になってもらえるくらいに関係性を深めるなど、その改善に努めることを優先するのがよさそうですね。