かつて運営していて、今は放置しているブログにTOGAF関連の情報を求めてのアクセスがあることに気づきました。中途半端ではあるのですが、TOGAF関連の情報は次のwikiにまとめています。
seesaawiki.jp
このエントリーは、その放置しているブログから引き継いだものです。情報は2008年のもので、TOGAF 8の内容に基づいています。wikiはTOGAF 9のものです。wikiと併せてご参照ください。
Phase C: Information Systems Architectures - Data Architecture
Information Systems Architecturesの構成要素の一つがData Architecture。ここでやることは、「企業活動に関連するデータ要素」を定義すること。それは以下のような要素です、
・データの形態
・データの運用、保全、管理
・データの情報源
データベース・デザインやデータ・モデリング、もしくはストレージ構成を検討、定義するわけではないことに注意です。
[INPUTS]
・Data principles(もしあれば)
・Request for Architecture Work
・Statement of Architecture Work
・Architecture Vision
・技術要件
・ギャップ分析結果
・Baseline/Target Business Architecture
・Baseline/Target Data Architecture
・Enterprise Continuum(既存のアーキテクチャ文書)
Phase BのOutputsを直接引き継いでいるのは前回説明したとおりです。
[Steps]
Data Architecture策定の流れは、以前紹介したアーキテクチャ策定の大筋に沿っています。Data Architectureならではの要素を確認します。
1. Develop a Baseline Data Architecture Description
ここで登場するのがZachman Framework。このステップではBaseline Architecture開発に際して、このフレームワークを利用し次の要素をレビューします。
・ Business data model
データ要素や形態、それらの相関関係です。
・Entity relationship diagrams illustrating views of the Data Architecture
・Logical data model
論理モデルというと、データベースのテーブル設計みたいなものを想像するかもしれませんが、Data Architectureはデータベース・デザインではありません。
データベースを設計する以前に、どんなデータが必要なのか?それはどのような構造をしているのか?を定義する必要があります。そのようなスキーマを想像してもらうとよいでしょう。
・Data management process models
データ分布、ライフ・サイクル、セキュリティ、モデル運用の観点からデータの運用管理プロセスをレビューします。
・data entity/business function matrix in the Business Architecture
2. Review and Select Principles, Reference Models, Viewpoints, and Tools
3. Create Data Architecture Model
アーキテクチャ・モデルの開発において、特定業界で利用するモデル、フレームワークが存在します。特定業界以外に人には不要なものですが、キーワードとして覚えておくとよいでしょう。
- C4ISR Architecture Framework Logical Data Model
C4 (Command, Control, Communication, Computers)
ISR (Intelligence, Surveilance, Reconnaissance)
アメリカ国防総省が利用
- ARTS Data Model
ARTS (Association for Retail Technology Standards)
小売業界で利用
現実世界でのXML Schema - IBM developerWorks Japan より
- POSC Data Model
石油業界で利用
POSC (the Petrotechnical Open Standards Consortium)
energistics
4. Select Data Architecture Building Blocks
5. Conduct a Checkpoint Review of the Architecture Model
6. Review the Qualitative Criteria
7. Complete the Data Architecture
8. Conduct Checkpoint/Impact Analysis
9. Perform GAP Analysis and Create Report
各ステップの名称に若干の違いはあれども、やっている内容は前述の大筋に沿っていることが理解できると思います。
これらのステップを通じて生成される成果物が、Data ArchitectureのOutputsとなるのですが、これの紹介はまた次回。