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今年は新旧、劇場公開作品を含めて31のタイトルを鑑賞した。その中でも印象に残っている作品の一つが『SSSS.GRIDMAN』だった。ちょうど昨日、ジムから帰宅した午後に最終話をGYAO!の無料配信で、夜にニコニコ生放送の上映会を視聴した。
全12話を通して、少し端折ったような展開、筋書きだったり、例えば六花ママや怪獣少女、新世紀中学生のように、背景の分からないキャラクターが登場したりなど、雑な印象を残した部分はあったものの、作画や描写も含めて丁寧に作りこまれていたように感じた。特撮番組を母体としているためか、格闘シーンは実写特撮をモチーフとしたような描写があったり、かつてのウルトラ作品へのオマージュを感じる演出もあった。
なにげなくルーチンをこなすように毎週一話ずつを眺めていたのだが、視聴を続けていくうちにストーリ上の仕掛け的な要素に気付くというべきか、アイデアが形作られるようになってきた。これはこういう意味なんだろうな、的な個人的推察、いわゆる察し、あるいは憶測だ。
これから紹介するのは、鑑賞後の私なりの解釈だ。
目の色
青色 | 新条アカネに想像された人物、仮想世界の存在 |
赤色 | 怪獣 |
黄色 | ヒーロー |
例外 | 六花ママ、新世紀中学生 |
新条アカネに想像された人物の目は青色をしている。響裕太の目も最初は青色だった。物語終盤、目覚めた主人公の目は黄色に変化する。響裕太そのものは仮想世界の存在なのだが、その本質にグリッドマンが宿った、あるいは乗っ取られた帰結だ。
怪獣は赤い目の色をしている。怪獣少女の目の色も赤ければ、怪獣として創造されたアンチ君の目も赤い。アンチ君がバージョンアップしたかのようなグリッドナイトでさえ、その目は赤い。本質的には怪獣なのだが、結果としてアンチ君は人間の心に通じる何かを得たのか、片目が青に変化した。
新条アカネの目は赤色だが、宝多六花の目は青地に赤の光彩が見える。宝多六花は新条アカネに通じる何かを持ち合わせている、その関連性を示している。
定期入れの色も、この話題に通じているように感じるのだが、色の特性が逆転している。宝多六花がプレゼントした定期入れは赤色だったが、現実世界の定期券は青色だった。きっと仮想世界を創造する前から存在していたのだろう。現実世界で何があったのかは分からないが、特異な赤色的存在、あるいは世界から、ごく普通の青色的な何かへの変化を示唆しているようだ。
現実世界の新条アカネと、仮想世界の新条アカネ。そして宝多六花。
現実世界の新条アカネ | 卑怯者で臆病、ずるくて弱虫。 |
仮想世界の新条アカネ | 現実世界の新条アカネの理想、空想の外観を反映している。 |
仮想世界の宝多六花 | 現実世界の新条アカネの外観を反映している。 |
エンディングでは実写パートを用いて現実世界が描かれていた。目覚めた少女はストーリーの展開から、どうやら現実世界の新条アカネのようだ。現実世界の新条アカネの見た目は、仮想世界の宝多六花に似ている。
仮想世界の登場人物は基本的に新条アカネが創造したものなのだが、多少なりとも何らかの現実世界の事柄を背景、モチーフにしている。親友でいてほしいとか、恋人であってほしいとか。親友であってほしいのが宝多六花だった。仮想世界の新条アカネは、あくまでもアバターとしての存在であり、現実世界の自分自身のコピー的な何かとして宝多六花が存在している。
物語上の悪役であるアレクシス・ケリブは、新条アカネの心の闇を利用していたことを考えると、宝多六花は新条アカネの良心でもあったのだろう。
主人公の響裕太は、新条アカネの恋人であってほしい存在なのだが、仮想世界で彼が恋するのは宝多立花だった。現実世界でも恋人であってほしいというのが本質的な願いであるならば、現実世界のコピー、そして自分自身の良心としての宝多六花に通じるのは当然の流れであろう。仮想世界の新条アカネは、現実世界の理想というよりも空想の産物であり、自分自身の心の闇が宿ったアバターなのだから。