これは2004年に投稿したエントリーに加筆、修正の上、以前のブログから引き継いだものです。
料理の発明、発想と言うのは、こうすればおいしい、という理屈であったり、偶然による発見ををきっかけとして生まれるのだろう。例えば、硬い肉を美味しく食べるには、
- 煮込んで柔らかくする→シチュー
- 鞍の下に敷いて乗馬し、柔らかくする→タルタル
一方、やむに已まれぬ事情から生まれる料理もあるのではないか、と思うことがある。例えば、まとまった肉の取れる部位は王侯貴族やお金持ちに取られてしまう、あるいはそのような部位は真っ先に消費してしまうので、他の部位を食べざるを得ない、と言う状況だ。
特にハンバーグやミートボールは、何とか集めてまとまった量になった屑肉、挽肉を寄せ集めて、食べられるように調理したものに感じてしまう。そのような印象を持っているものだから、特にハンバーグは「貧者のステーキ」というイメージがある。
そのようなイメージがあるため、私がハンバーグを作る時の焼き加減は、次のような具合だ。
- ナイフを入れるとカリッと音がするくらい、上面、底面を焼く。
- 中身は十分に火を通すものの、可能な限りレア状態の焼き加減。
そのようなハンバーグを、私は次のように自炊している。
ハンバーグ
牛ひき肉 | 300g |
生卵 | 1個 |
牛乳 | 100cc |
玉ねぎ | 半分 |
ナツメグ | 適量 |
食パン | 1枚 |
ハンバーグ2個分の分量を想定している。塩コショウや油など、ありきたりの材料は省略している。
好みでニンジン、ピーマン、シイタケ、チーズなどを加えても良いのだが、前述したステーキのイメージから遠ざかってしまうため、私は加えない。
やはりステーキのイメージから遠ざかってしまうため、玉ねぎもみじん切りで、徹底的に刻む。食パンは挽肉生地のつなぎとしてだけでなく、食感にも関わる。焼き上がり後のふんわりとした柔らかさを保つため、次のことを心掛けている。
- 徹底的にちぎる。
- 牛乳に浸す。
最終的に、全ての材料は混ぜ合わせることになるのだが、食パンだけには、あらかじめこの下準備を施しておく。
これらの材料を徹底的に混ぜ合わせる。全体が一つの生地にまとまるだけでなく、全ての材料が混然一体となるまで混ぜ合わせる。
混ぜ合わせた生地を丸める際には、空気が入らないように気を付けること。加えて、まとめ終わった生地の中心にくぼみを作っておく。
実際のところ、煮込みハンバーグに仕立てるのであれば、この点については、あまり意識する必要はない。焼いて仕上げる場合、特に今回紹介する焼き方では、この点を意識しておく必要がある。生地内の空気抜きが不十分な状態で生地を焼くと、ハンバーグ表面がひび割れてしまう。
油を引いたフライパンを強火で温め、煙が出てくる頃合いでハンバーグを投入する。生地から脂、肉汁が出てきたら、フライパンを傾けて、肉汁、脂を一方へ集める。ハンバーグをその中にずらす。
ここで意識するのは、ハンバーグ生地底面を脂と肉汁でフライするようなイメージだ。「ナイフを入れるとカリッと音がする」くらいまで焼き上げる。十分に焼き上がったと思ったら、ハンバーグをフライパン中央へ戻し、反対側を焼く。
同様に脂、肉汁があふれ出てくるので、同様の方法で表面を硬く焼き上げる。
実際のところ、ソース無しでも十分においしいのだが、やはりソースがあると良い。残った脂、肉汁をソースにする。
ソース
ケチャップ | 適量 |
とんかつソース | 適量 |
スタッフド・オリーブ | 2個 |
ピリピリ(赤唐辛子の水煮) | 1本 |
脂と肉汁に、ケチャップとソース、さらに赤ワインを加えて作るハンバーグ・ソースは一般的なものだと思う。私は次の風味を意識して、オリーブ、唐辛子を加えている。
甘味 | トンカツソース |
酸味 | ケチャップ |
辛味 | ピリピリ |
苦味 | オリーブ |
まろやかさのためにバターを加える前提であれば、唐辛子は用いないほうが良い。バターのまろやかさで、辛みが相殺されてしまう。
オリーブは瓶詰で販売されているものだ。みじん切りにしておく。
フライパンですべての材料を混ぜ合わせ、好みの濃度に煮詰まるように水を差して仕上げる。