これは2007年に以前のブログへ投稿したエントリーを加筆、整理したものです。
Mike Mignolaの日本語版、最新刊。アメコミと言えば、半ば強引かつ行き当たりばったりなストーリー展開で、内容はあまり期待できず、気に入った作家が作画しているものを、画集の感覚で購入したりするものですが、このHELLBOYシリーズはかなり例外的な存在。
まず、Mike Mignolaのコントラスト全開で、適当なデフォルメの利いた作画が素晴らしい。ラブクラフト的SFホラーと神話の世界をミックスしたような世界観ながらも、おどろおどろしさが無く、逆に洗練さ、スタイリッシュさを感じさせるイメージ。
映画やアニメで映像化されている作品ではあるけれども、Mike Mignolaの作画イメージは尊重されていながらも、ビジュアル・イメージはそれぞれ異なる。オリジナルの雰囲気はコミックでしか楽しめない。
昔ながらのアメコミ同様、結局敵をぶっ飛ばしてお終い、という強引なストーリー展開でありながらも、日本のマンガの様な伏線や謎を解きほぐしながらストーリーを展開していく仕組みが採用されている。
半ば行き当たりばったりな要素を孕んではいるものの、HELLBOYの生い立ちから、その目的、周囲の事情に触れている。
各エピソードごと、それぞれのストーリーがある。背景として共通しているのはHELLBOYの自分探し。
- 作者: マイク・ミニョーラ,堺三保
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2014/06/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Mike Mignola曰く、今回収録されたエピソードの一つ、The Islandが従来シリーズの本当の意味での締め括りであるとのこと。
毎回、このシリーズでは巻末に設定集的なラフやアイデア・スケッチが掲載されている。今回は、あるエピソードのヴァージョン違い原稿が掲載されている。あるものは、今回の出版の為にインクが入れられ、またあるものは鉛筆での下書きそのままが掲載されている、興味深い趣向。