「ジェネリック」という言葉がある。本来の言葉「generic」は本来、ブランドやユニークな特徴といった固有の要素を排除した一般性を指している。この言葉が一般的に用いられているのは、ジェネリック医薬品だろう。先発医薬品の特許が切れた後、同じ有効成分の薬品を指して呼ばれる、後発医薬品のことだ。
この事例を外れると、ジェネリックはコピー品、劣化版的なニュアンスを持つ表現に転じる。例えば、HuaweiのノートPCは、一時期ジェネリックMacBookと呼ばれていたことがある。
今回、紹介するのは、そのようなジェネリックな要素を持つSweetLF社のシェーバーだ。よくある中華系電化製品なのだが、率直に言えばまさにジェネリックPHILIPSなのだ。
sweetlf.com
この投稿で取り上げているのは、次のシェーバーだ。
- 3軸回転式
- 防水、ウェット・シェービング対応
- 自動研磨
というスペックはPHILIPS社と同等でありながら、一部のユーザーにはPHILIPS社以上のアピールに繋がるだろうと想像するのが、次の事柄だ。
- PHILIPS社の替え刃よりも安価
- USB Type-C充電(5V 1A)
端的に考えれば、電器髭剃りとは電源でモーターを回し、その回転でブレードを回してヒゲをそるだけの機械なのだ。PHILIPS社をはじめとする有名メーカは、そこにブランドならではの付加価値とともに販売する。その付加価値がコピー困難なものであればともかく、コピーが容易なものであるばかりか、無くても十分間に合う要素であれば、破壊的な価格で同等品が登場するのが、いつかは訪れるはずの未来なのだ。それが現実のものとなった。
その同等品は、必ずしもPHILIPS社と同等の品質を提供するわけではないものの、そのような比較対象になり得る商品が登場することによって、一部のユーザーは適正価格に疑問を持ち始めるかもしれない。つまり、
- PHILIPS社の製品は高すぎる
- SweetLF社の製品は安すぎる
髭剃りという機能に対して、それほどまでの価格差が正当化できるのか、順番に比較してみよう。ちなみにPHILIPS社のシェーバー、S9185と比較している。
ブレード(刃)
髭剃りの一番大切な部分で、最も使い心地に影響する部分でもある。いくら機能が同等でも、肌触りや剃り心地に不満があれば、ユーザーは乗り換え対象とは見なさないだろう。
Amazon.co.jpでの、S9185の現在価格は17501円だ。一方、SweetLFの販売価格は2999円と、5倍弱の開きがある。この価格差の一番のポイントがここだ。
写真のブレードは上列がSweetLF、下列がS9185のものだ。一見してすぐ分かるがブレードの数だ。圧倒的にSweetLFのものが少ない。S9185は先行する刃がヒゲを引っ張り、続く刃が引っ張ったところを切断することによって、優しい肌触りと深剃りを実現している。この切断プロセスが、S9185は短く、SweerLFは長い。先にPHILIPS社のシェーバーを利用していたユーザーからすると、SweetLFの使い心地には若干の違和感を伴うことになる。少しひげが引っ張られるような感触があるのだ。
またSweetLFは、PHILIPSに比べて髭を捕え難いようだ。外刃、内側の溝の空間が狭いことに由来していると考えられる。PHILIPS社と同じ感覚で、ヘッドを円弧上に動かしながら肌に当てるのだが、剃り残しが多いように感じた。
これら違和感も価格差に見合うと解釈すればともかく、運用で解決できる些細なものとすれば、先述の価格差は大きい。
ちなみにシェービング・フォームを使用してのウェット剃りでは、ヘッドの滑り具合は同等だ。むしろボディ形状の違いによる、握り心地、感触の違いの方が意識に上りやすい。どちらが使い難いというわけではなく、いつもと違う感触によるものだ。
ヘッド
ヘッドを並べると、SweetLF社のものが若干大型に見えるのだが、肌に触れる部分からヘッド、ブレードの稼働軸まで、ほぼ同等だ。
見た目には分からないところだが、PHILIPS社のヘッドは、内刃と外刃が摩擦することで、刃が自動研磨される機能がある。SweetLF社も同等の機能を備えているようだ。Amazonの商品説明、ならびに説明書に次の記載がある。
刃の切れ味をキープする自動研磨システムによって、いつでもお気軽にシェービングできます。
新しいシェーバーに肌が慣れるまで1~2週間の調整期間を設けてください。
S9185のヘッドは分割式だ。メンテナンスの場合は、ヘッドの上下をバラシてクリーニングする。SweetLFはヒンジの開閉式だ。
メンテナンスのしやすさはユーザー次第だろう。分解洗浄を前提とするユーザーにはPHILIPS式のヘッドが便利だろうし、水洗いで済ませたいユーザーにはSweetLFのスタイルが便利だろう。
ちなみに両社のヘッドに互換性はない。ボディをSweetLF、替え刃をPHILIPSの組み合わせで利用するのが最適解ではないか、と期待する所なのだが、これはできない。写真の上がPHILIPS、下がSweetLFだ。接合部の径、突起が若干異なっている。またシャフトの太さ、深さも異なっている。
🔎各シャフト、ボディ側受け口
メンテナンス・コスト
SweetLFの説明書では、6か月に1回のブレード交換が推奨されている。現時点では、SweetLFの替え刃はAmazonでは取扱いされていない。公式サイトでの販売価格は1822円だ。
そもそも、本体丸ごとで3000円足らずの商品であり、それはPHILIPS社の替え刃よりも安価なのだ。実際のところはブレード交換ではなく、本体ごと買い替えるのが適切なのかもしれない。
https://sweetlf.com/collections/accessories-and-replacements/products/sweetlf-replacement-blades-for-ucn601sweetlf.com