一般的に「日本語化」、「日本語対応」と言ったとき、それは日本語の入出力だけでなく、設定項目からメニューまでも日本語化することを指すのだが、ユーザー次第では、英語環境+日本語入出力の方が好都合なこともある。特に異なる言語バージョン間の用語差異は煩わしい。
用語を統一すれば、コミュニケーションにおける齟齬を防ぐことができるし、インターネット検索では、日本語版の用語で検索するよりも英語版の用語で検索した場合、より豊富な情報が出力されることもある。
iOS(iPhone OS、iPad OS)やAndroidでは、メニューや設定項目の表示は英語のまま、入出力だけを日本語対応することが簡単に実現できる。いわゆるLanguage、Regionの設定が分離しており、それぞれについて適切な言語設定を選択すればよい。
🔎iPadの場合
🔎Androidの場合
Windowsでも同様に設定することができるのだが、Version 20H2では、関連項目を含めて分かりやすく変化していることに気付いた。冒頭の画面がそれだ。
冒頭の設定画面を見て気付くのは、設定項目を入出力の要素ごとに分類し、それぞれに異なる言語設定を割り当てられるようになっていることだ。設定項目とは、次の5つだ。
Windows display | ファイル・メニューやボタンなど、Windowを構成するパーツへ適用する言語設定 |
Apps & websites | 多言語対応アプリケーションでの優先言語 |
Regional format | 日付や通貨などの書式、表示フォーマット |
Keyboard | IMEの選択 |
Speech | 音声認識、入出力の言語設定 |
Windows display、Apps & websitesどちらも英語設定の環境下で、国語辞典のような日本語に特化したアプリケーションを動作させても文字化けすることはない。サンプル画像はMicrosoft/Shogakukan Bookshelfという90年代の辞書ソフトなのだが、表示に問題はない。
Regional formatは通貨、度量衡、日付の表示形式などに影響する。たとえば、同じ英語圏であっても米国、英国、オーストラリアでは習慣上、日付の表示順序が違う。典型的なのは、
日付の表示順序 | 月/日/年 日/月/年 英語表記混在など |
午前、午後の表示 | AM/PM表示 24時間表示 |
カレンダーの1週間 | 月曜日始まり 日曜日始まり |
印刷用紙のデフォルト・サイズ | レター・サイズ A4など |
Windows表示、アプリケーションは米国版に基づくものの、Regional formatだけは英国に従う、と言った設定もできる。それが丁度、冒頭の画面設定だ。
ただし、この設定は見た目重視の好みで設定しないほうが良い。Excelなどで日付型入力など、ユーザー自身が入力する場面でも、指定した形式に従う必要がある。
KeyboardはあくまでもIME(入力方法)の設定であって、キーボード配列の設定ではないことに注意すること。
通常、IMEは日本語入力一つだけなので、IMEそのものを切り替えることがない。多言語設定環境となると英語入力でさえ、英語IME⇔日本語IMEという切替が生じる。最優先を日本語IMEにしておけばよいのだが、意図せずキーボードショートカットを押下したことで、気づいたらIMEが変わっていた、ということがある。次のショートカットを覚えておくと良い。
IMEの切り替え 入力言語の切り替え |
Alt + Shift |
IME内部の切り替え 変換方法の切り替え |
Alt + ~ |
余談
ちなみに、次に紹介するブログにて、興味深いことに触れられている。
実際、その通りで、これらの設定変更はあくまでも外観の変更に終始しており、Windowsそのもののロケール設定(SystemLocale)までもが変更されるわけではない。
例えばインストーラーがOSのSystemLocaleを参照し、適切な言語版としてインストールするものもあれば、対象言語が異なるのでインストール不可、とする場合もある。例えばこのようなケースだ。
docs.microsoft.com
特に後者の場合、見た目を英語版に変化させても、SystemLocaleが維持されていれば、日本語版のアプリケーションのインストールに支障をきたすことはないだろう。
とはいえSystemLocaleが維持されているのだから、万事安全というわけにはいかない。表示言語の切り替えに際し、何を参照するかはプログラムに依存するからだ。例えばwebサイトの表示言語は、ブラウザの言語設定を参照しているものが多いだろう。
表示設定、言語設定に関連する公式情報は、
- デスクトップなどの運用系
- アプリケーション開発系
に情報が散逸しており、統合的に把握することが難しい。参照先をまとめておく。
ともあれ、ユーザー個人の使い心地に影響する設定が分かりやすくなったのは、地味ながらも良いことだ。