これは2007年に投稿したエントリーで、以前のブログから引き継いだものに加筆したものです。
PMBOKは良い実務慣行として一般的に認められているものをまとめたものです。別の表現をすると、それは知識の羅列でもあるため、
- ある知識が、どのようなことを意図しているのか?
- どのような場面で、どのように適用されるのか?
といった知識の背景、適用場面、適用方法については述べられていません。
この書籍は、そのようなPMBOKでは触れられていない領域をカバーしています。説明も具体的でやさしく、実践でも参考書として役に立つ書籍です。
著者は防衛大学校を経て、米国陸軍兵站管理大学を終了したエリートです。タイトルにある国防総省直伝という表現は、その経歴に基づいたものなのでしょう。
現在ビジネスの現場、さらには管理に導入されている概念は軍事関係から派生したものが多く、例えばオペレーションズ・リサーチは第2次大戦中の兵站研究が発端です。BPR (Business Process Reengineering)、SCM (Supply Chain Management)、ERP (Enterprise Resource Planning)も、そのような分野の数理研究に端を発しています。
軍事的なエリアから派生したPM法も、同様にビジネスの現場で通用しています。この書籍では特に次の項目についての解説が深いです。
- WBS (Work Breakdown Structure)
- PERT (Program Evaluation Review Technique)
- CPM (Critical Path Method)
- EVM (Earned Value Management)
PMBOKでは、これらの解説が、それぞれの用語の内容説明に終始しているため、これらを、どのように組み合わせて活用するのか、考えや解釈を伴う具体的な実例に触れられていないのです。
特にPERT、CPMと資源平準化を交えたスケジュール管理の解説、EVMについて、実際の計算を交えながらの解説は、プロジェクト現場への適用にも重宝する内容です。
- ユーザーの将来ニーズへの対応
- ユーザー満足度の向上
- ユーザーニーズへの即応
をコンセプトに、各テーマに1編を割り当てる構成となっています。先に挙げたスケジュール管理、EVMは第2編で取り上げられます。
PMBOKと異なり、その内容は事例、例題を元に解説が進められ、基礎知識だけをまとめた教科書的なものにとどまらない内容です。
アメリカ国防総省直伝 プロジェクト・マネジメント実戦教練ブック
- 作者:岩田 治幸
- 発売日: 2007/06/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)