先日の徒歩行程*1で、とうとうMerrell Chameleon 2(以下、カメレオン2)にガタが来た。市街を歩行中、躓いたわけでもないのに、左足つま先の樹脂カバーが突然、割れてしまったのだ。不幸中の幸いだったのは、市街地での破損だったことだ。最寄のセブンイレブンで瞬間接着剤とスコッチ・テープを入手し、応急処置し、予定通りの行程を歩き切ることができた。
カメレオン2は2009年に発売されたハイキング・シューズだ。発売年に購入し、ビジネス、プライベート問わずに履き続け、今年で15年目ということになる。足の形状、歩き方、それによって生じる脚への負担は人それぞれなので、特定のシューズが誰にも最適、ぴったりということはありえない。さらに言えばデザインについて、普段着との相性、嗜好の問題もあるだろう。
とはいえアスファルトであれ山道であれ、とにかく「歩く」ことを重視するユーザーにお勧めするなら、選択肢の一つはメレルのカメレオン・シリーズ*2だ。
この投稿では、14年履き続けたカメレオンはどのような状態になるのかを示し、可能な限り長持ちさせるための手立てを紹介しようと思う。
アッパー
靴全体を眺めると、このような具合だ。決して新品とは言わないが、多少のくたびれ感は隠せないものの、それでも10年以上履き続けたような印象はないのではないだろうか。
樹脂部分のダメージに比して、GORE_TEXのアッパーには全く問題がない。それくらいGORE-TEXという素材は丈夫で長持ちだ。
GORE-TEXは化繊なので、基本的な清掃はブラシだけで済む。問題は靴の裏地と、そこに染み込んだ汗の処理だ。この対応については後述する。
トゥーチップ
問題のつま先部分、左足のつま先には接着剤の余分が写っている様に、冒頭で触れた応急処置後の状態だ。よく見ると右足のつま先にも破断が生じている。経年劣化、特に加水分解による劣化から樹脂の柔軟性が損なわれ、歩行中の歪みから破断したのだろう。このようなダメージは避けられないのだが、おそらく一般的には、このようなダメージが生じる前に買い替えられていることだろう。
トゥーチップ部分の樹脂は縫製されておらず、接着されているだけなので、カバーが形状を保っている限りは、冒頭で触れたように、接着剤、テープで応急処置できる。
樹脂とGORE-TEXという異なる素材同士を接着するため、それに対応した接着剤を用いる必要がある。曲面同士の接着なので、伸びが良く強力である特性も要求される。さらに歩行中の固定にテープを用いるのだが、つま先に巻き付ける必要はなく、つま先の樹脂とGORE-TEXを覆うようにカバーするだけで良い。
この用を満たし、セブンイレブンでも入手可能なのが次の接着剤とテープだ。特にスコッチガムテープは透明で、手でカットできるのが良い。
縫製
冒頭の画像は、その問題のカメレオンのロゴ部分をクローズアップしたものだ。靴全体をパッと見ただけでは気づきにくいのだが、近づいて眺めるだけでも、色々分かることがある。
- 樹脂は完全に劣化している
- しかし縫製はしっかりしている
- GORE-TEXに若干の毛羽立ちがある
メレルに限らず、高品質なシューズは縫製がしっかりしている。そして昨今の品質維持とコスト削減のトレード・オフで、真っ先に手を抜かれるのが、このような箇所だ。
最新モデルのカメレオン8では、踵から踝にかけての樹脂カバー(ヒールカップ)が排され、踵から最上部の鳩目に向けて流れる樹脂だけが残されている。この部分に縫製が残っているのだが、カメレオン2のように縫製部分を埋め込むように溝が設けられていない。これでは、いくら縫製がしっかりしていても、糸が引っかかって切断してしまうリスクがある。このような部分には、切断が生じる前に糸の上から瞬間接着剤をパテのように盛っておくと良い。丁度、プラモデルの合わせ目消しに瞬間接着剤を盛る要領だ*3。
とはいえ、樹脂の劣化は避けられない。カメレオン2の場合、瞬間接着剤は用いていないが、樹脂に設けられた溝によって縫製だけが生き残った。
ソール、ヒールカップ
歩くことは、靴底を地面でヤスリ掛けするようなものなのだから、最も消耗する部分がソールだ。とはいえ消耗する部分というのは人それぞれ異なり、その領域は限られているものでもある。
ある程度、新品を履き馴らしたら、削れている部分を確認する。そしてその部分に、あらかじめシューズドクターのような靴底補修材を薄く盛って、膜を作っておくと良い。こうすることで、ソールの消耗を緩和できる。あくまでも削れている部分のみを補修するので、グリップにはそれほど影響しない。
とはいえ膜なので、簡単に削れるし、剥がれ落ちることもあるのだが、また盛り直せばよい。それを繰り返した結果が、添付の写真だ。14年間履き続けている割には…という感じではないだろうか。
そしてカメレオン・シリーズの弱点であるヒールカップだ。歴代カメレオン・シリーズのヒールカップは、一見分厚く見えるのだが、実は靴底よりも薄い。そして、ここが最も削れやすいのに十分な厚みが無いため、放っておくと簡単に裏地が露出し、靴の内部に浸水してしまう。例えば、次のブログで紹介されているような具合だ。この個所は、早いうちに補強しておくと良い。
洗濯
以上で、靴の物理的な状態は養生できるのだが、衛生的な部分については別の対応が必要だ。特に裏地に染み込んだ汗だ。私の場合、洗濯ネットに入れて洗濯機にかけている。この時、左右の靴を分けてネットに入れておくと良い。あるいは左右を個別に洗濯するか。
というのも、先に触れたGORE-TEXの毛羽立ちは、左右の靴を一つのネットに入れて洗濯したときに生じたのだ。丈夫な化繊とは言え、擦り合わせれば毛羽立ちが生じる。
そして、ここで一考の余地があるのが、先に触れた加水分解による樹脂の劣化だ。これは手間と製品寿命とのトレードオフ要因でもある。とはいえ、それでも10年超は持つのだから、洗濯しても問題ないのではないだろうか。
とはいえ、さすがに現状では、もう洗濯機にかけようとは思わないが。