Technically Impossible

Lets look at the weak link in your statement. Anything "Technically Impossible" basically means we haven't figured out how yet.

BIOMEGA

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この投稿は、2005年、2007年に以前のブログへ投稿したものへ加筆、再編集したものです。

弐瓶勉の代表作、『BLAME!』は説明、解説がほとんどなく、ストーリーだけでなく設定を含む世界観の解釈までをも読者に委ねる、ある意味、読者を突き放すようなドライさがあった。しかし、何処かのタイミングで作者の意識が変化したのだろう。作者の知名度が上昇するとともに、作品がポピュラーなものになり、画調もソフトな印象へ変化していった。おそらく、その傾向が極まったのが『シドニアの騎士』だっただろう。

BIOMEGA』は、『BLAME!』路線が『シドニアの騎士』路線へ変化していく、狭間の作品だ。加えて、巻が進むにつれて、その変化を実感できる作品でもある。
1巻では『BLAME!』的な要素を継承しながら、シリアスな描写とSF的な設定で『BLAME!』読者を引き込みながら、巻が進行するにつれて、ストーリー展開と画調は『シドニアの騎士』に通じるものへと変化していく。単一作品を通じて、作者の変化を確認できる作品が『BIOMEGA』だった。

BLAME!』との対比-訳の分からない結末への疾走

BLAME!」ではIT、サイバーのような無機を意識、印象させる要素がちりばめられていたが、タイトルに「バイオ」とあるように、この作品では有機を印象させる要素が多い。『BLAME!』に対して対照的な印象をもたらす要素が多く含まれているのが、この作品の特徴だ。

両作品の主人公はロボット、アンドロイド、人造人間的な何かであることが共通している。一方、そのディテールには作品全体のテンポに影響する違いが反映されている。
BLAME!』にはパートナー的なお伴が存在するのだが、本質的には一人だ。一方『BIOMEGA』の主人公には仲間がいる。『BLAME!』の主人公の装備は重力子放射線射出装置は、いわゆる「タメ撃ち」単発の一撃必殺兵器だが、『BIOMEGA』の主人公はレール・ガンを撃ちまくる*1...などなど。
特に、作品のテンポに影響する違いは移動手段だ。『BLAME!』の主人公の移動手段は徒歩だったが、こちらの主人公はAI搭載バイクを乗り回す。『BLAME!』が探索だとすれば、『BIOMEGA』は疾走だ。

この疾走感がポイントだ。おそらく、巻が進むごとに『シドニアの騎士』のようなポピュラー路線に通じる何かを、作者は漠然としながらも認識を深め続けていたのではないだろうか。その漠然とした、掴み切れない何かを追求しながら、作者と作品は、訳の分からない結末へと疾走していく。
その、まとめきれなかった反省が『シドニアの騎士』に結実したのではないだろうか。

2巻へと続く糊代的エピソード-新旧1巻の違い

BIOMEGAの1巻は、当初、講談社から出版されたのだが、2巻の出版に合わせて集英社からの出版に変わった。そのとき新1巻の巻末に、2巻へと続く糊代的なエピソードが追加された。旧1巻を購入済みの読者にとっては、重要な要素だろう。

2巻のあるエピソードで、ある人物が理由もなく、あるアイテムを保持している。この理由を説明する伏線的なエピソードだ。
この理由が説明されたからと言って、ストーリーの理解、解釈が困難となるものではないのだが、エピソードに登場する主人公の名前が、合成人間ファミリーの幅の広さを連想させ、設定の解釈や世界観に広がりをもたらす。

新装版 バイオメガ(1) (KCデラックス)

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  • 作者:弐瓶 勉
  • 発売日: 2021/04/30
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新装版 バイオメガ(2) (KCデラックス)

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*1:レール・ガンは出力最大、マナー・モードを解除することで、重力子放射線射出装置的にタメ撃ちすることもできる。