ファンドマネジメント
山崎元の『ファンドマネジメント』を読み進める。内容はとても分かりやすいのだが、文章が長く、理解しづらいところがある。漢字の代わりに平仮名が多用されている。加えて、いわゆる「おじさん文法」の反対だ。とにかく読点がない。「おじさん文法」と言われるくらいなので、「おじさん」特有の記述なのだろうと思うが、端的に言えば、年齢に比例して読点が増えるとは思えない。おそらく、年齢よりも社会経験を重ねることで、次のような事柄を意識するようになったのではないか、と考えている。『ファンドマネジメント』は1995年に出版されている。当時、山崎元氏は37歳だった。まだ「おじさん文法」には到達しない年齢だろうか。
今日まで読んだ範囲で印象的だったのは、近代ポートフォリオ理論についての解釈だ。近代ポートフォリオ理論では、いわゆる「均質で摩擦のない世界」を前提としている。情報は市場に行渡り、その解釈も均一だ。仮に市場価格が誤ったとしても、裁定取引によって、直ちに是正される。
実際のポートフォリオ運用においては、市場ポートフォリオに対する感応度に基づいて、リスク、期待リターンを計算することになる。ポートフォリオ運用の結論を、実際の運用に反映しているわけだが、その結論を利用することは、理論の前提条件に対する反証になっている。つまり、市場は「均質で摩擦のない世界」ではないことになる。