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華為のHarmonyOS発表会をYouTubeで見ていた。2019年のトランプ大統領による禁輸措置以降、
- Androidから手を引き、代わりに独自OSを開発する
- 中国で販売するノートPCにはDeepin OSをプリインストールする
などなど、脱Googleにとどまらず、US ITとの依存関係無しに自立しようとする孤軍奮闘していた。華為だけの独自路線で、どのようなことが実現できるのかは、興味の対象だった。
今回の発表で分かったのは、スマートフォンを中心とするIT機器+家電の統合環境を実現するのがHarmonyOSということだった。脱Googleを指向した独自のAndroid OS + Marketplaceではなく、家電までも囲い込もうとする意図なのだろう。家電については、既に中国家電企業との連合が組織されているようだ。諸々のパートナー企業が紹介されていた。
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スマートフォンを中心に、タブレット、PC、スマート・スピーカー、ワイヤレス・イヤホン、家電と簡単に連携できることを売りにしているようだ。その統合環境を「Super Device」と呼んでいた。
それは、単に端末間のデータを連携したり、スマートフォンを家電のリモコン代わりに用いる以上のことを想定しているようだ。特に家電を意識した、日常的なモニタリングとリコメンデーションを組み合わせた仕掛けが用意されていた。特に健康管理面についての機能だ。
強く印象に残ったのはHarmonyOSの独自性ではなく、Apple的な何かだった。今に始まった話ではないのだが、とにかくAppleを強く意識しているようなのだ。
かつて販売されていたMateBookというノートPCは、ジェネリックMacBookと揶揄されていた。先の健康管理機能はApple Healthに相当する。アイコンやコントロールパネルなど、UIもApple風味だ。
さらに付け加えれば、HarmonyOS意外に紹介された新製品、例えばスマート・パネルなど、ことごとくApple的なデザインが反映されていた。デザイン面でも独自性を発揮すればよいのに、と思うのだが。
不思議に思ったのはPCの取扱いだ。PCは既に終わったデバイスなのだろうか。開発には欠かせないと思うのだが、コンシューマ向けとは捉えられていないのかもしれない。
中国で販売されているMateBookにはDeepinがプリインストールされている。しかし、HarmonyOSのPC対応については、Windows用のプラグインであることが説明されただけだった。
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90年代、日本企業は独自規格のパソコンを捨て、Windowsを搭載したPCをリリースした。ソフトウェアからハードウェアまで、全て米国規格の製品だ。ゼロ年代はi-modeをはじめとする3G通信サービスと、多様な携帯電話をリリースすることで存在感を示すことができたものの、スマートフォンの時代となってからは、90年代に逆戻りするどころか、一部の企業は淘汰されてしまった。現在、ほんの一部の企業だけが、特定部品の領域だけで存在感を示すだけとなっている。
iPhoneが登場したとき、自分たちでも同様の製品を作ることができた、ということを日本企業は言っていた。それで日本企業は何をしたかと言えば、事業整理、人員整理だ。結局のところ、どの日本企業も華為のように振舞うことをしなかったし、そのような気概も持っていなかった。そもそも口だけの組織で、華為のように振舞うことのできる裏付けは何もなかったのかもしれない。
そのような経緯をリアルタイムに傍観してきたものだから、華為には目を離せない魅力的な何かを感じてしまう。