嫌煙であったり、ジム通いで保険料が割引されたり、巷の話題や事象に健康が反映されることが多くなってきた。それは健康意識が高まった帰結というよりも、テレビが体に良いと言えば、ココアや納豆が店頭からなくなるような、異様な側面もある。
ここでいう「養生」とは、そのような「健康」の話題とは一線を画している。
人間は生まれたときから日々、老いていき、死に向かっている。そのような思想から、少しでも良好なコンディションを維持し、故障を起こさないようする。そして、それを死ぬまで続ける。
それが本書でいうところの「養生」である。決して「健康」を維持するためのものではない。
著者自身の体験と思想に加え、実際に試した結果に基づいて、それがすべてであると断定している。言うなれば、その技法とは五木寛之自身にとってのものであり、決して万人向けに一般化できるものではない。そこに本書がもつ独特のユーモアと痛快さがある。
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